翻刻
ごくもんに
かけたる
きにひらが
くびあめに
うたれて
うへの
かみが
めくれ
かゝり
ければ
したより
かごがあら
われけるゆへ
さて〳〵人の
あたまのほねは
かごのやふ ̄ナものだと
はじめのほどは
たれもこゝろつか
ざりしがしだいに
まくれあがりて
かごのせうたい
あり〳〵となり
ければみな〳〵
きもをつぶし
さて〳〵
みつめが
いつはい
くわせ
たり
いざや
ひき
おろし
【左ページへ】
にうどうへ見せんと
なかまのてやい三つめ
かたへもちきたり
ければにうどう大
へこみにてつらをまつ
かくしてちりをひねつて
いたりけるさるにても
みこし三つめさへ
かなわぬきんひら
とてもほな【?】てやいが
手にのらぬしろもの
このうへまたどんな
事にあをふもしれ
ずあしもとのあかるい
うちとそれよりみな
〳〵いゝやわして
はこねの
さきへと
ひつこして
行ける
【右ページ中、台詞】
どふで
こんな
ことた
ろふと
おもつた
ハ〻〳〵〳〵
【右下セリフ】
三つめ
どのが
まきしたで
からみそお
あげられたが
なるほどち
がつたものだ
なかまのうぢ
がみもすさ
まぢい
うづむしが
あきれ
らア
【左ページ下、台詞】
いゝかげんにして
ひつこましたら
よかつたおれが
ちゑもかご
ぬけとなつたか
ハレやくたいも
ない【益体もない=つまらない、他愛もない】
可
現代語訳
獄門にかけたその金平の首が雨に打たれて、上の紙がめくれかかったので、下から籠が現れてしまった。そのため「さてさて人間の頭の骨は籠のようなものだ」と最初のうちは誰も気づかなかったが、だんだんめくれ上がって籠の正体がありありとなったので、みなみな肝を潰した。「さてさて三つ目が一杯食わせたのだ。さあ引き降ろして入道に見せよう」と仲間の手合いが三つ目のところへ持ち来たったので、入道は大いにへこんで、面を真っ赤にして恥じ入っていた。それにしても御輿や三つ目さえかなわぬ金平とて、とても並の手合いが手に負えるしろものではない。この上またどんなことに遭うかもしれず、足元の明るいうちにと、それよりみなみな言い合わせて箱根の先へと引っ越していった。
【台詞】
「どうせこんなことだろうと思った。はっはっはっ」
「三つ目殿が巻いた舌で辛味噌を上げられたが、なるほど違ったものだ。仲間の氏神も様にならない。呆れるしかない」
「いい加減にして引っ越したらよかった。俺の知恵も籠抜けとなったか。これは益体もない」
英語訳
The head of Kintarō that was displayed at the execution grounds was beaten by rain, causing the paper on top to peel back, revealing the basket underneath. Therefore, while at first everyone thought "Well, human skull bones are indeed like baskets" and no one noticed, as it gradually peeled back more and the basket's true identity became obvious, everyone was shocked. "So Mitsume has deceived us all! Come, let's take it down and show it to the priest." When his fellow demons brought it to Mitsume, the priest was greatly deflated, his face turning bright red with shame. Even so, if even Mikoshi and Mitsume cannot handle Kintarō, he's certainly not someone that ordinary demons can deal with. Not knowing what other troubles might befall them, and while they still had daylight to see their way, they all consulted together and moved away beyond Hakone.
【Dialogue】
"I thought it would turn out like this anyway. Ha ha ha ha!"
"Master Mitsume got us all worked up with his smooth talk, but indeed it was all lies. Even our group's patron deity is worthless. How absurd!"
"We should have just moved away from the beginning. Has my wisdom also become as empty as this basket? How utterly pointless!"