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コレクション: 養蚕の書

蚕影山畧縁起 - 翻刻

蚕影山畧縁起 - ページ 5

ページ: 5

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権の太夫といふ浦人あり。此うつほ船を見出しすわや浮木の寄 にこそ薪(たきゞ)にせんと浦へ引上。斧(おの)をとつて打 破(やぶ)ればやさしき姫 君一人おわす太夫おどろき汝たゞ人にあらず御名をなのり給へと 姫君 答(こたへ)ての玉わく我(われ)は化生の者にあらず天竺旧仲国王の 娘也けい母のざんげんにもつて此 難(なん)にあへり仏法 流布(るふ)の国ならば 引上よ我 涯分報答(かいふんほうとう)をせんと有ければ。太夫我家につれ帰り。 いつきかしつき奉り。たなごゝろの玉と愛(あい)せり。然(しか)るに姫君 違例(いれい) の心地して終に北亡(ばう)の露(つゆ)ときへ給ふ。太夫 夫婦(ふうふ)なけきのあまり■く 唐櫃(からひつ)をこしらへ彼なきからを入申て渇仰(かつけう)し奉る或夜の夢(ゆめ)に 我に食をあたへよ後かならず汝か為(ため)に恩を報(はう)ずべしと。夜明てから ひつを開きけれは有し御 形(かたち)水とけしてたゞ。小虫となつてありけり。何がな 食物を奉らせんとあんじけるが。此君の国は桑こそ多けれうつほ舟 も桑也とて桑の葉をとつてあたへしに虫悦て桑の葉にとり付是 を食し次第に成(せい)長し給ふ或時此虫桑も食せす皆 頭(かしら)を一様 にあけてわな〳〵としたる体也 夫婦(ふうふ)おどろき是は何とてかくあらんと いふに。其夜の夢に告(つげ)て曰相かまへて騒(さわく)事なし我国に有し時 獅子(しゝ)