翻刻
【右丁】
さらぬたに都こひしきしのゝめに涙もよほすほとゝきすかな
【上部】
山家集
ひとりねのね覚の床の
さむしろに涙もよほす
ほとゝきすかな
羽衣《割書:巻四にも見えたり(朱)|》
みやこにはまちかねたりし時鳥けふあふさかの関に鳴なり
賀茂資保
まちしより心つくしのほとゝきすしはしとゝめよもしの関もり
旅宿五月雨といふ心をよめる 源仲正
千【朱】
さみたれは苫のしつくに袖ぬれてあなしほたれの時のうきねや
朝海法師
五月雨《振り仮名:は|に【朱】》みかさまされはころも川たゝてそたひの日かすへにける
右大臣家歌合に旅の心をよめる 顕昭法師
とほさかるまゝにみやこのしのはれてかさなる山のうらめしき哉
【朱書】イに此詞書下の康頼所にあり 千載同
◦こゝろのほかなることにて人の《振り仮名:心に|国にイ【朱】》し《振り仮名:まかり|はへりイ千同【朱】》【左朱:まゐりイ】けるに
【左丁】
よめる
あめの《見せ消ち:ふる|ふりけるにイ【朱】》都なる人のもとに遣しける
散位源光行
君こふるなみたの雨のひまな へ(くイ(朱))て心はれせぬ旅のそらかな
◦《割書:詞書前に錯入|》
千載【朱】 平康頼
かくはかりうきみのほともわすられて猶こひしきはみやこなりけり
みちの国へくたり《振り仮名:はへり|まゐりイ【朱】》ける《振り仮名:、【朱】|にイ【朱】》なこそのせきにてよめる
千【朱】 源義家朝臣
ふく風をなこその関とおもへ《割書:ともイ【朱】|》みちもせにちる山さくらかな
おほやけの御かしこまりにてあつまのかたへまかりける
ゆく末はるかにおほし《振り仮名:はんへるに|はへりてイ【朱】》よめる
参議修範《割書:左兵衛大夫■千【朱】|》