翻刻
【右側】
いとはるゝとしはすかたにしるけれ《振り仮名:は|とイ【朱】》いひかくすへき方もなき哉
随日増恋といふことをよめる 法皇御製
千【朱】
こひわふる今日の《振り仮名:たもと|なみた千【朱】》にくらふれはきのふの袖はぬれしかすかは
【左側】
月詣和歌集巻第五
五月付恋中
題不知 右大臣 摂政前右大臣千【朱】
千【朱】
五月雨にぬれ〳〵ひかむあやめ草ぬまのいはかき波もこそこせ
土御門内大臣の久我山庄にて旅宿のあやめといふ
ことを人〳〵よみ侍りけるに 祐盛法師
いもかすむみやこなりせはあやめ草まくらはふたつゆはまし物を
菖蒲をよめる 藤原定佐
とし毎に引てもたゆしあやめくさけふより軒にねさせとそ思ふ
平忠度朝臣
あやめ草たつぬる人のこゝろにそ《振り仮名:◦|まつ》なかきねはかゝりそめける
藤原資《振り仮名:隆|澄イ【左朱】》朝臣