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【右側】
旅宿聞虫といふことをよめる
賀茂宣平
都にはたつねてきゝし虫の音をなきあかしつる草枕かな
月前《見せ消ち:に》聞虫といふことを 頼円法し
てる月のかけさえぬれはあさち原霜の下にも虫はなきけり
藤原親盛院北面にこれかれをすゝめて歌合し
はへりけるに何辺のむしといふことをよめる
源仲頼
かりのこすよとのゝ草にきり〳〵すおのかすみかをあれぬとやなく
虫声惜秋といふことを 源宗光女
ゆく《振り仮名:春|秋歟【朱】》をゝしみかねたる虫の音に我さへ袖をぬらしつるかな
題しらす 荒木田成実
【欄外上部】
下文霜のしたにそ
いろは有ける
【左側】
きり〳〵すさこそは秋のくれゆかめこゝろほそくもなきよ《見せ消ち:は|わ【朱】》る哉
籬菊如雪といふことを 大僧正行慶
千 続詞【朱】
ゆきならはまかきにのみ《見せ消ち:や|はイ千詞【朱】》つもらしとおもひとくにそしらきくの花
藤原資陸朝臣
ことわりやはれぬる秋の《見せ消ち:□|十日》あまり見よとおもへる月のかけかな
九月十三夜に月雲りて 高松宮
《見せ消ち:あ|侍》りけれは
天つ風雲ふきはらへ《振り仮名:なをともに|なほとしに歟【朱】》ふたよの月はこよひ斗そ
祐盛法しか坊に菊を植て侍りける花のさかり
なりけるにむすひ付侍りける
法橋実雲
みにかへて《見せ消ち:お|を【朱】》しむときくの花なれは露もあたにそ《振り仮名:をら|おかイ【朱】》れさりける
九月十三夜をよめる 左衛門督実家
【欄外上部】
大かた白をはしら何と
いひて不知にのみよす
るを此歌は被知にいひ
かけたり
浜臣云こゝに題脱せしなるへし
九月十三夜の歌なることはしるしら