翻刻
【右側】
海辺暁雰といふことをよめる
湛覚法師
あけやらぬあまのとまやのひまに《振り仮名:ては|こそイ【朱】》よをさへきりのこむるとはし《振り仮名:る|れイ【朱】》
雰隔山《振り仮名:路|イナシ【朱】》といふことを《振り仮名:よめる|イナシ【朱】》 藤原頼房
きりふかきひはらのそま《振り仮名:は|のイ【朱】》みやき引《見せ消ち:を|お》とこそ道のしるへ也けり
海辺雰深といふことを 賀茂幸平
なにはかたしほちも見えぬ夕雰にたなゝし小舟こきもやられす
夕雰を 仁和寺二品法親王
花もみていかゝはやとにかへるへきしはしははれ《見せ消ち:□|よ》のへの夕きり
暮秋聞蛬とい《振り仮名:ふ|へるイ【朱】》ことを 覚延法し
秋ふかきかへの中なるきり〳〵すいつまて草のねをやなくらん
暮秋の心をよめる 藤原親盛
【左側】
くれて行秋の心はつらけれとうらなくまねく花すゝきかな
法眼実快
くれて行秋のみそらをなかむれは《振り仮名:夕|名歟【左朱】》残かほなる有明のつき
藤原定長
ふく風にをはなか末をむすはせてくれ行秋や旅ねしつらん
大輔
玉葉【朱】
むしの音はよはりはてぬる庭の面にをきのかれはの《見せ消ち:を|お》とそ残れる
顕昭法し
長月もなのみ也けりはるなつのおなしひかすに秋のくれぬる
大納言実国
家集【朱】
くれ《振り仮名:ぬる|ゆく家【朱】》をゝしむにつく《振り仮名:す|る家集【朱】》心こそ秋のこよひのたくひ也けれ
法印慈円
【欄外上部】
新続古今秋下
太宰権帥為経
長月は名のみ也けり
春夏のおなし日数に
くるゝあきかな