翻刻
【右】
なきかけもいかにうれしとおもふらむふきつたへつるみよの春かせ
民部卿成範中将の時はりまのかみにてはへりけるに
つかはしける 清和院《振り仮名:斎|弁イ【朱】》中納言
みかさ山みねより出てくまもなきあかしのうらをてらす月かけ
成全《振り仮名:◦|阿イ【朱】》闍梨房に祐盛法しまかりて夜もすから
物かたりしてつとめてかへりはへりけるにけさをわ
すれたりけれはよみてつかはしける
成全法師
たのましなよのまのほとに引かへて《振り仮名:けさ|袈裟今朝兼【左朱】》はわするゝ人の心を
二条院の御時僧のふえふ《振り仮名:く|き歟【朱】》ときこしめして大内
にめされてつかうまつりけるによみ侍りける
安心法し
【左】
ふえのねはみ《振り仮名:せ|を歟【朱】》ふくはかりなけれともなはきこえたり雲の上迄
法皇みこにおはしましける時侍のをさ《振り仮名:に|衍歟》にて
はへりけるか今は北面にさむらひなから人かすならぬ
ことをおもひてよめる 菅原是忠
千【朱】
ひく人もなくてすてたるあつさ弓心つよ《振り仮名:き|さ歟【朱】》もかひなかりけり
心の外なることにてこもりゐてはへりけるをり《振り仮名:に|イナシ【朱】》よめる
大江公朝
朝日山おとろかしたにきえのこる雪やわかみの命なるらむ
なき名たつことをなけきけるに人のもとより
おもひやる袖も露けしと申たりけれは
建礼門院右京大夫
何か《見せ消ち:おも|と【朱】》ふつゆけかるらんたもと《見せ消ち:かな|にて》我ぬれ衣のほとはしるらん
【欄外上部】
此歌家集にみえす