翻刻
【右】
ふみをすゐしんにたひたりけるをとりてみけれは
そのこまもすさめぬあやめみかくれて引人もなきねこそたへせ《見せ消ち:ぬ|めイ【朱】ねイ【朱】》
のゝ宮わたりにてもの申ける女の《振り仮名:て|書【朱】》にみなしてよみて
遣しける 参議通親
いかてかは駒もあさらん《見せ消ち:まこも|あやめ》草いつくにあ《見せ消ち:る|ふ》としらぬねなれは
人のもとに侍りけるわらはのかしらおろしけるにつか
はしける 法眼長真
おもひをもなへてやみぬるむくひこそおろすかみにはとはまほしけれ
栗田のさぬきのかみ兼房りきといふ遊女を思ひ
侍りけるかいさかひてい《見せ消ち:ゑ|へ》てしたりけるをわれとよひに
つかはさんかさすかにおほえけれは伏見修理大夫俊綱
かもとにまかりてこれよひてた《見せ消ち:ひ|へ》と申けれはすなはち
【欄外上部】
続後雅上 正三位知家
身はかくてうきぬの池の
あやめ草ひく人もなき
ねこそつきせね
髪を剃に神を降
をかけてよめるなる也
【左】
よひにつかひをつかはしけるつきの日申つかはしける
藤原かねふさ朝臣
なにはかたたのめしことのありしかは君にさへこそあはまほしけれ
なけくことはへりていりこもりけるによめる
中原俊宗
いとほしとおもひこそしれひきまゆの《振り仮名:ふ□|ふた歟【朱】かき歟【左朱】》こもるみはくるしかりけり
成範卿おほやけの御かしこまりにてとほくまかり
たりけるにことなほりて都にはへりけるにもとの
すみかもあれうせて侍りけれはそれへつかはしける
藤原清輔朝臣
鳥の子のありしにもあらぬふるすにはかへるにつけてねをやなくらん
民部卿成範
【欄外上部】
ひきまゆ