翻刻
【右】
いふことをよめる 藤原隆信朝臣
滝つせもこほれはよとむなにか此くれ行としのたくひ成へき
除夜のこゝろをよめる 泰覚法師
春風《見せ消ち:も|は》さらにふくともあすからはよるとし波は立もかへらし
藤原親盛
何となく過る月日に年くれてかすとるものはわかみなりけり
昌俊法し
行としの宿はいつくとたつねれ《振り仮名:は|とイ【朱】》みより外《見せ消ち:へ|に》はとまらさりけり
藤原範光
をしめともけふくれはつるふるとしのあくれはなとてみにかへるらん
中原宗邦
いつよりもけふのくれこそかなしけれかくてもとしのつもると思へは
【欄外上部】
浜臣云此歌は故あ
りてよみし歌と
きこゆ考へし
【左】
内大臣 《割書:後徳大寺左大臣玉【朱】》
玉【朱】
《振り仮名:何とかく|なそもかく玉【朱】》つもれは《見せ消ち:花|老玉【朱】》となるとしのくれをはいそくならひなるらむ
俊成卿家に人〳〵十首歌よみ侍りけるに歳暮の
こゝろをよめる 俊通法し
新古【朱】
なけきつゝことしもくれぬ露の命いけるはかりを思ひてにして
釈教
華厳経日照高山の心を《振り仮名:よめる|イナシ【朱】》 新《見せ消ち:中|中【朱】》将
さしのほる朝日のかけも位山たかきみねをそ先てらしける
大品経常《振り仮名:◦|啼イ【朱】》菩薩のこゝろをよめる
寂超法し
千【朱】
くちは《見せ消ち:へ|つ【朱】》る袖にはいかゝつゝまましむなしとゝけるみのりならすは
【欄外上部】
新後拾遺釈教
権律師幸円
かへもなく頼む日よしの
影なれは高き峯とや
まつてらすらん
大品経巻第廿六