翻刻
【右丁】
金覆輪(きんふくりん)の色(いろ)に煮花(にばな)の茶(ちや)らくら懸(かけ)てさらりと
乗(のり)。案山子(かゝし)の弓矢(ゆみや)たばさんで。中軍(ちゆうぐん)にひかえ。味方(みかた)の
勢(せい)のいたるを見(み)て。勇(いさ)ましきありさまや。此(この)勢(いきほ)ひに
責(せめ)かゝらば。などか降参(かうさん)せざるべき。然(しか)れども謀計(はかりごと)を麦(ばく)
飯(めし)のうちに廻(めぐら)すは。湯錢六銅(ゆせんりくとう)勘畧之巻(かんりやくのまき)の。奥儀(あうぎ)な
れば。能(よく)〳〵備(そなへ)を立(たつ)べしと。三度(さんど)の食(しよく)の孔明(こうめい)が八(はち)
陣(ぢん)にならひ。八筭(はつさん)の陣(ぢん)を布(しき)。先(まづ)左(ひた)りに二(ふた)つと目(め)
安(やす)をおき。酒(さけ)と飯(めし)とを二進(にしん)が一十(いつし)と。先陣(せんじん)にすゝ
【左丁】
ませ。雑穀類(さうこくるゐ)を二一天作(にいちてんさく)の後陣(ごぢん)にわりつけ。其余(そのよ)の調(だう)
度(ぐ)雑具(ざうぐ)ども。九一加勢(きういちかせい)を加々一(かゝいち)と。下(した)に加(くは)へて其勢(そのせい)都(つ)
合(がふ)。十二万三千四百五十六石七斗八升九合を八(やつ)つに
割(わり)。升尻(ますしり)の責鼓(せみつゞみ)をポンポチ〳〵とま【うヵ】ちならし。掛(かけ)
引(ひき)自在(じざい)の十露盤橋(そろばんはし)の桁(けた)をゆき。ハチリ〳〵と
よせたりけり
第八回
去程(さるほど)に餅(もち)はもち屋(や)の備(そなへ)を立(たて)。銅鑼炙(どらやき)を