翻刻
江戸の糀室(かうじむろ)は穴室にし凡巾一間 一登斎
半長さ十間ばかり也四方竹垣のごとくして 芳綱画
土の間へ藁を詰又|天井(てんぜう)は横(よこ)に丸太を
陟莚(わたしむしろ)を敷其上に土を置也|偖(さて)入口の義は
さきに画たるごとし尓(しかる)に今度の地震のごときは
往来平地さへ響(ひゞき)割る震動(しんどう)
なるゆへ土中深く掘込(ほりこみ)たるもの
何安体(なんぞあんたい)なるべきされば揺崩(ゆりくづ)れる
中に其|最荒(はなはだしき)もの此爰にあくる
〇本郷新町家に九軒|潰(つぶれ)其中三河屋
彦兵へ同長七等|住居(すまゐ)室の中へ落込(おちこ)む
同所|横根(よこね)坂七軒潰〇同春木丁二丁目
四軒〇同三丁目壱軒同五丁目
一軒同六丁目弐軒同丸山菊坂
四軒其中いせ屋次郎兵へ家居落込
同元町五軒〇湯島天神門前
四軒〇同植木丁一軒同三組丁三軒
〇同六丁目弐軒《割書:うら|だな》同|鎹(かすがい)丁一軒
〇同だるま横丁二軒
〇神田明神社内二軒
右の分町〻|相糺(あいたゞし)夫〻
名前分明なれども
吉祥(よきこと)ならざる故
|態略(わさとりやく)してしるす