翻刻
霞総叙
○霞(かすみ)はもと雲(くも)正しく日の光をうくれは透(すきとを)りて白し
斜(なゝめ)に日の光をうけて相 交(ましは)れは色(いろ)を起す皆
日の光をかりて或は五彩【左ルビ・いろとり】をなす也雲気は
至て清虚(せいきよ)也五色さたまりたる質(かたち)あるには
あらす時の早晩(はやくをそく)の寒暑(かんしよ)によつてをの〳〵
日気の厚薄(あつくうすく)をかりる也今 俳諧(はいかい)なとにいへる
霞の事にはあらす是は朝には東にあり夕
には西にある日気の映(えい)する色(いろ)也
雪雑占
○冬に雪ふる事一尺に盈(みつ)れは来年 豊熟(ゆたかにみのる)の徴
也 蝗(いなむし)は雪 凝凍(こりいて)れは地に入事ふかく地を出る事
を得さる也故に豊熟(ほうしゆく)の徴とする也朱子曰雪
は豊年(ほうねん)をなすにはあらす其 故(ゆへ)はその陽気(ようき)を凝
結して地にありて来年にいたりて発達(はつたつ)して万物
を生長するゆへ也
○雪ふらんとしてはなはたしく寒(ひゆる)也 既(すて)にふりて後に
かならすあたゝかになる也又《ルビ:黄煙|くわうゑん》たちて雪ふ
る也