東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

撫育草 - 翻刻

撫育草 - ページ 19

ページ: 19

翻刻

【右頁上段】 実(じつ)の子を愛(あい)しいつくし みて継子(まゝこ)の閔子騫(びんしけん)を 悪(にく)みてとにかく父(ちゝ)へあし くとりなしそしり閔子 騫にさま〴〵とつらく あたりけれども少(すこ)しも 【右頁下段】 にもより候 事(こと)なれば 一概(いちがい)には申 難(がた)く候 得とも中(ちう)以下(いか)之 町人(てうにん)商人(あきんど)風情(ふぜい)は芸(げい) 能(のう)ありてほめらるゝ 方(かた)よりは無芸能(むげいのふ)にて 【左頁下段】 商売(しやうばい)一向(いちむき)の外(ほか)には 何(なに)も知(し)らぬ男(おとこ)なりと そしらるゝ者(もの)が芸能(げいのう) ありとほめらるゝ人 よりも多(おほ)くは先祖(せんぞ)の 家(いゑ)をよくたもち身体(しんだい)

現代語訳

【右頁上段】 実の子を愛していつくしみ、継子の閔子騫を憎んで、とにかく父に悪く言いつけ、そしって、閔子騫にさまざまとつらく当たったけれども、少しも 【右頁下段】 によるものであるから、一概には申し難いけれども、中流以下の町人や商人風情は、芸能があってほめられる方よりは、無芸能で 【左頁下段】 商売一筋の外には何も知らない男だとそしられる者が、芸能ありとほめられる人よりも多くは先祖の家をよく保ち、身代