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コレクション: 養蚕の書

養蠶圖解 - 翻刻

養蠶圖解 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

【右丁上段】【挿絵】 清水(せいすい)にて 真綿(まわた)をさらす 【右丁下段】 巻付(まきつく)るなり。尤(もつとも)わくは女(おんな)の真向(まむき)に横(よこ)になし図(づ)の如(ごと)く。右(みぎ)の手(て) にて手前(てまへ)のかたへうち廻(まは)す。糸口(いとくち)細(ほそ)くなる度(たひ)ことに少(すこ)し宛(づゝ) 取添(とりそへ)てむらなきやうに巻(まき)つくるなり。またまゆは餘(あま)りにえ 過(すぎ)る時(とき)は糸(いと)くちよはし。又(また)にえざれば糸口(いとくち)出(いで)ず是(これ)に加減(かげん)有(ある) べし。 又(また)一/方(はう)に籆(わく)の右(みぎ)の方(かた)へ車(くるま)二ッしかけ。是(これ)につよき糸(いと)をかけて早(はや)く まき付(つけ)る。法(はう)有(あり)図(づ)にあらわす糸取(いととり)仕法(しはう)流義(りうぎ)多(おほ)し。宜敷(よろしき) を用(もち)ゆべし。 又(また)糸(いと)をあげる繰車(おほくるま)。これは国(くに)所(ところ)によりて色々(いろ〳〵)仕法(しはう)ありといへ ども。まづ一/方(はう)を図(づ)に顕(あら)はすまた糸をすかぬる仕様(しやう)猶更(なをさら)国々(くに〳〵) の変(かは)りあれば。其所(そのところ)にしたがひよろしきを用(もち)ゆべし。     蚕(かいこ)の善悪(せんあく)並に病(やまい)見様(みやう)の事 蚕(かいこ)掃立(はきたて)より。七八日めに獅子(しゝ)のふり桑(くわ)に成(なる)を上(じやう)と知(し)るべし。 【左丁上段】 同六日/目(め)位(くらゐ)に獅子(しゝ)の責桑(せめくわ)に 成(なる)を中(ちう)とす 同四日/目(め)位(くらゐ)に獅子(しゝ)の責桑(せめくわ)に なるを下(げ)としるべし 獅子(しゝ)の休(やすみ)の中(うち)に白(しろ)きふし あつて。水(みつ)出(いづ)る蚕(かいこ)あれば庭(には)の 居起(ゐおき)にあしく成(なる)べじ。是(これ)は 冷(ひへ)たる蚕(かいこ)。又(また)は暖過(あつすぎ)たる蚕(かいこ) にて有(ある)べし。 獅子(しゝ)の居尻(ゐしり)とる跡(あと)に死(し)たる 蚕(かいこ)あらは。是(これ)は障子(しやうじ)の透間(すきま) より湿風(しつふう)にあたり。又(また)は毒(どく)に 当(あた)りし蚕(かいこ)としるべし。 【左丁下段】【挿絵】 糸(いと)をとる図(つ)

現代語訳

【右丁上段】【挿絵】 清水で真綿をさらす 【右丁下段】 巻き付けるのである。もっとも枠は女性の正面に横になし、図のように右手で手前の方へ回す。糸口が細くなる度ごとに少しずつ取り添えて、むらがないように巻きつけるのである。また繭はあまりに煮えすぎる時は糸口が弱くなり、また煮えなければ糸口が出ない。これに加減があるべきである。 また一方では枠の右の方へ車を二つ仕掛け、これに強い糸をかけて早く巻き付ける方法がある。図に表す糸取りの仕法には流儀が多い。良いものを用いるべきである。 また糸を上げる繰車、これは国や所によって色々な仕法があるといえども、まず一方を図に表す。また糸を染める仕様はなおさら国々の違いがあるので、その土地に従って良いものを用いるべきである。 蚕の善悪並びに病気の見方の事 蚕の掃き立てから七、八日目に一齢の脱皮桑になるのを上等と知るべきである。 【左丁上段】 同じく六日目くらいに一齢の脱皮桑になるのを中等とする 同じく四日目くらいに一齢の脱皮桑になるのを下等と知るべきである 一齢の休眠中に白いこぶがあって、水が出る蚕があれば庭の据え置きに悪くなるだろう。これは冷えた蚕、または暖まりすぎた蚕であるだろう。 一齢の脱皮跡で死んだ蚕があれば、これは障子の隙間から湿った風に当たり、また毒に当たった蚕と知るべきである。 【左丁下段】【挿絵】 糸を取る図