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此人狗子とは。犬の子なり。是に仏性とも合点は何とも合点は
いらずと申ければ聞て見たまへとて仰られけるは
犬の子にあやかる人のしわざこそ
ほとけともなれ地ごくへも入れ
むかひ殿の犬子ろはまだ目があかぬかおつぼにまゝ
入てころ〳〵〳〵や
と仰られけれはいま目があきて候・扨 狗子(くし)の所はやう〳〵
いまめがあき候が趣列の有無の所は千年の一夫仕候也
愚痴の我等は得道仕る事はなりがたしと申けれは。哥よ
みて聞すべし此哥をつねに吟じて心得て見られより
なしといへばなしとや人のおもふらむ
こたへもそする山びこのこゑ
ありといへはありとや人のおもふらん
こたへてもなき山ひこのこゑ
とあそばしければ彼者しばらく工夫してしからばあり
ともなしともしれぬにて御ざ候かと申けれは
有無をのする生死のうみのあまをふね
底ぬけて後有無もたまらず
と仰られければ彼人此哥にて跡心して一首
有無そしるなにおもひけむ賄列も
なかりしさきの犬の一こゑ
と申けれは一休聞給ひておつぼのまを二口まいりける