翻刻
世に所謂此の具多葉は是別物にあらす椰子の葉也その
辨盤水先生の蘭畹摘芳に詳なり
へブレウス言語并文字の説
へブレウスの言語ハ西洋諸国言語の皆由て出る所也又「へブレウ
ス」の文字と称する者和蘭諸事中に散見すその字体最も
簡古なり是西洋諸国の文字中に於て最古とす相つ
たふ太古の世に天より此字を造りて人に授くる所のものに
して則洪水より以前の文字といふ又「ハックホヲルド」《割書:人|名》
所撰の和蘭字学の書にいはる「へブレウス」の文字は喉舌齶歯
唇の五音を区別して五程となすと云和蘭書中に所見
の「へブレウス」の字に訓を加へたるもの一二を左に記す
【一段目】
「「ウガップ」とよむ是東方
楽器の名なり
【二段目】「カルコム」とよむ
是は番紅花の事なり
【三段目】
「シケイケル」とよむ
是昔し如徳亜国通行の銀銭の名也
大低右の類なりその詳なる事歯追て是を考ふべし
亜刺比亜「マレイㇲ」瓜哇の文字の説
「マレイㇲ」《割書:今和蘭人つれ来る黒坊といふ|もの多くは「マレイㇲ」の人也と云》の文字ハ其原如亜刺比亜国
の文字よりいつ但し「アラヒア」にてハ字に点画を加へて諸音
を区別す《割書:唐土の国を加へて四声|を分つか如くなるへし》「マレイㇲ」ハその字大二同しといへと
も点法甚疎なりと云又今欧羅巴諸国に用ゆる「セイㇸル」《割書:数量に|用ゆる》
字十字もその始アラヒヤにて造るものなりとそ又今の僧