翻刻
に録す
一処女あり夫婿なくして孕めり或人これを詰て曰姐二
誰人と私情を通してしかるや答曰曾て私情ある事なし
曰くすでに夫なし又私情ならんハ何を以て孕むや処
女曰時之「ナクー。メルレイ」あり豈これに感して然るもの手《割書:「ナク|ト」は》
《割書:夜なり「メルレイ」ハ牝馬なり二言を|合して夢に厭鬼はしるを云》曰是「メㇽレイ」にあらしかならす「ヘングㇲㇳ」
ならん《割書:「ヘングスト」ハ牡|馬うをいふ》一人の酒徒あり酒を嗜むことの甚しきに眼
を患ふ医師「カルドウア」といふ是を戒ていはく足下の病ハこと〳〵
く酒のなす所なれハすく酒を禁すへし酒徒の曰我
酒を飲めは果して我眼を損すしかれとも酒を飲され
は寝寞に絶すして我身を損す寧になる窓をして閉
塞せしむかとも大なる家をして壊損せさらしむ事
を欲するのミ
娼妓の説
彼国にて都会の地には皆娼妓あり是を「ウール」といふ
是皆女子の性淫奔にして婦女の道を守る事あたはさ
るもの以て娼となす男子もすてに妻を娶るものハ決し
て娼楼に登ることをゆるさす娼妓その品によりて價
又高低あり「ジャガタラ」の地にも亦娼妓ありしかれとも「ジャガタラ」
は赤道の南にあたりて大熱国なる故に娼妓といへとも皆黒
人なりといふ一笑すへし《割書:娼妓の説又赤島氏紅毛雑話にも|にも記す》
冠婚葬祭の説