翻刻
とし十寸を一尺とするといふ事なし又権衛の如きも
亦しかり薬用の斤量と他事に用ゆる者とハ甚異なり薬
用にて「ゲン井ン」と云ハ麦一粒の重さにてこれを六十合せたる
を「ダラクマ」とす則一匁なり然れとも金銀玉石の量を計る「ゲン
井ン」ハ薬用の「ゲンイン」よりハ大二重し又薬量にて「ポンド」といふ
ハ九十六銭なり而してその他の事にもちゆる「ポンド」といふハ
百二十八匁なりその外も皆此類にして頗繁雑なり追て
詳に是をしるすへし
カナアリヤ鳥の説
「ヒブ子ルス」《割書:人|名》か「コンスト。ウヲールド」《割書:書の|名》にいはく「カナアリイ。ホヲゴル」
《割書:カナアリヤ嶋ハ「アフリカ」西海岸中にありその嶋およそ七ツ又「マデラ」「ホルトサント」「カラチ|オサ」の三嶋を加へて十とす「カナアリア」ハその総名なり此諸嶋きわめて冨僥の地》
《割書:なるが故に又名て「チリュツキフ。ヱイランデン」といふ誤りに訳してて福嶋といへり「ホヲ|コル」ハ阿蘭国の語にて鳥をいふ》
一名「セリン。デ。カナアリイ」と云此鳥その始ハ「カナアリア」嶋より産す故
に如此に名くその形「ヂステル。ヒンキ」に相似たり《割書:ヂステルヒンキ」ハ一種の|小鳥なりその羽毛美》
《割書:にして色種々あり囀声美なり巣を高樹の上に作る「ヂステル」ハ薊の事なり|此鳥このんて赤き薊ををくらふ故に名く》
その腹多くハ黄にして又灰白色をましゆ又鳥その色白き
ものをよひ尚其外種々の色をなすものあり羽毛綺麗に
して囀声美なりその声佳ならさるものをバ笛等の楽器
の法を以是に示しきかしめて遂によく其声を佳に
すへしいまハ此鳥入尓尼亜国和蘭国およひその外欧蘿
巴州中の諸国に甚多し又此鳥の囀なるものまに「ヂステル。
ヒンキ《割書:上に|見ゆ》と交りて雛を生するに其第三度生みたる雛