翻刻
【右丁】
千載(センザイ)の一時(イチジ)とや【?】云(イヒ)つべしされども市井(シセイ)
の民(タミ)田舎(デンシヤ)の児童(ジドウ)未(イマ)だ旧習(キウシユウ)を去(サ)らず一文(イチモン)
不通(フツウ)の輩(トモガラ)多(オホ)ければ始(ハジメ)より学校(カクカウ)に入難(イリガタ)く
思(オモ)へるも多(オホ)かるべし我(ワガ)知己(チキ)宇喜多練(ウキダレン)な
る者(モノ)頃日(コノコロ)病間(ビヨウカン)【左側ルビ:ビヨウキチウ】無聊(ブレウ)【左側ルビ:ヂヨサイナク】開化往来(カイクワワウライ)といへる文(フミ)を
著(アラハ)し綴(ツヾ)れり其書(ソノシヨ)専(モハ)ら今時(コンジ)の風体(フウテイ)にして
西洋(セイヨウ)各国(カクコク)風土(フウト)物産(ブツサン)名物(メイブツ)称呼(シヤウコ)を記載(キサイ)
【左丁】
して遺(ノコ)さず座(ヰ)なから彼国(カシコ)の事情(ジセウ)を
目撃(モクゲキ)するがごとし幼童(ヨウドウ)もし此書(コノシヨ)に因(ヨ)
り予(アラカジ)め天地間(テンチカン)事物(ジブツ)の理(リ)をも弁別(ベンベツ)する
ことあらば往々(ワウ〳〵)庠序(シヨウジヨ)の教(ヲシヘ)に入(イ)り道(ミチ)を
明(アキ)らめ智(チ)を開(ヒラク)の階梯(カイテイ)ともならむと
云爾
壬申 季秋 浪華
桂屑間人識