翻刻
上に/好(このみ)によりて/小摺物(こすりもの)にも/画(ゑがき)し事の/有(あり)けるが/早一昔(はやひとむかし)の/㕝(こと)とは
なりけり/然(しか)るに/板元喜楽堂此頃何(しよしきらくどうこのころなに)とか/思(おも)ひけん/彼股庫(かのまたぐら)の/虚字(うそじ)
の二/本今絶(ほんいまたへ)て見る事なければ/新(あらた)に/是(これ)を/開板(かいはん)せんと/予(よ)が/愚筆(ぐひつ)を
/需(もとむ)る事/頻(しきり)也/初(はじめ)の/時(とき)さへ/同物(どうぶつ)を/二種(ふたくさ)にして/出(いだ)さん事/如何(いかが)と/辞(じ)せし事
なるに/趣向(しゆこう)に事を/欠(かき)たが/如(ごと)く/今亦三度(いままたさんど)はあこぎならめと/固辞(いなめ)ど
/屈(くつ)せず/五度七度(ごどしちど)おしての/需(もとめ)いなみがたくて/遂(つい)に/筆採(ふでとる)事とはなりぬ
淫水亭