翻刻
かくて
ふたりの
にうだう
たがひに
毛女郎を
もらう
ならんの
いゝづく
より
かたなに
かけてと
ぬきつれて
たゝかふところへ
しんやの毛女郎
かけきたりふたりの
かたなをおさめさせ
ひとまづしんやの
にかいへつれゆく
【今入道の台詞】
われから
ひけ
【見越し入道の台詞】
われから引
【左ページ毛女郎の台詞】
にうだうさん
うたがひが
それたはい
のふ
【本文】
今にうだう
毛女郎へ
しんぢうに
かた〳〵の
めをくり
ぬいてやる
いたい〳〵
めいたびらめと
きてゐる
【目が痛いのと、目板鮃という魚をかけた駄洒落。江戸時代中期にはヒラメとカレイを明確には呼び分けていなかったので、メイタビラメは今でいうメイタガレイの事だと思われる。】
【前のコマを見ると今入道は越後の一つ目小僧のことを言っているが、挿し絵で目をくりぬかれている入道には長い首があり、見越し入道に見える。ただし着物の柄は一つ目小僧のもの。】
【次のコマでは狒狒が「親から貰った片目を女に与えるとは」と言っているので、やはり目を抜かれたのは一つ目小僧でなくてはならない。】
現代語訳
こうして二人の入道が互いに毛女郎を身請けしようと言い争いになり、刀にかけて(決闘で決着をつけよう)と抜き連れて戦うところへ、新屋の毛女郎が駆けつけて、二人の刀を収めさせ、ひとまず新屋の二階へ連れて行く。
【今入道の台詞】
「俺から引け」
【見越し入道の台詞】
「俺から引け」
【左ページ毛女郎の台詞】
「入道さん、疑いが晴れたでしょう」
【本文】
今入道は毛女郎への心中の証として、自分の片目をえぐり抜いて差し出す。
「痛い痛い、目いたびらめ(メイタガレイ)だ」と言っている。
英語訳
Thus the two monks began arguing over who would ransom Ke-jorō, and when they drew their swords saying they would settle it by the blade, Ke-jorō of the Shin'ya house came running and made them sheathe their swords, leading them for the time being to the second floor of the Shin'ya.
【Ima-nyudō's dialogue】
"You draw back first!"
【Mikoshi-nyudō's dialogue】
"You draw back first!"
【Left page, Ke-jorō's dialogue】
"Nyudō-san, your doubts have been cleared, haven't they?"
【Main text】
As proof of his devotion (shinjū) to Ke-jorō, Ima-nyudō gouges out one of his eyes and presents it to her.
"It hurts, it hurts, it's a painful flatfish (meitabirame)!" he says.