翻刻
の後天竺の鶏頭城といふ
国に天降り給りて龍花
樹といふ木の本にして正覚を
取構唄里耶仏と申す仏
と成三会の説法以て普
衆生を助給ふ龍華三
会の暁とは此事をいふ也
夫より以前かの都卒の
内院御座ます間には其身
を百手に分身して十方
世界に顕はれそれ〳〵の縁
をむすひ余多の御法を説
広めて諸の衆生導引
給ふに難有爰を以て
思ふに往古霊鷲山にて
忝なくも釈尊浄土の無
量衆経を説て弥□【「陀」ヵ】の
誓願を広め給ふ時かの
弥勒菩薩に念佛法問を
授給ふ末法万年の後の
百年に諸の経論法句
皆ほろひかせて世に色〳〵
のわたいゝひおこり人悉く
邪見ならんときの念仏
はかりは弥勒頼り給て其
時も■【「絶」ヵ】転なく世に弘め
給ひて衆生を極楽に
送り給はむとまのあたり
釈尊の仰含め給ひし
も此菩薩の御事也文珠
法華の御法を弘め弥勒
の念仏の教へを伝たへ取
〳〵にこそたうけれと又形
を人間に顕らはし明州の奉
化県にして禅法のみのりを
伝へて自身風顛のかたち
をこへし世をすくひ人を導
引給ふ事末の世の輩に
私【相では】なしほとけの御教へ何
の法かをはりまさりよしあし
はなき物すと法花念仏
禅法そのなか八宗の教は
皆諸共に我等の心を戒め
邪をひるかへし直なる道に
入らしめむ御方便成けりと
知らせ給はむ為そかし