Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション2

BnF. Département des manuscrits. Japonais 5332 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 5332 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

の杖に布袋を懸是を 荷ふて爰彼に行遊ひ給へは 世の人名付て布袋和尚と申 せり或は寺の廊下の傍或 人家の軒下または橋の上 成共往来る所に止りて 夜を明し日を送り給ふほと にあまねく人も見知り奉つる 其風流を貴とみて敬ひ 仰く事に也ぬ逢心に叶ふ 所に至りて頓て座禅の床 の上に空理三昧に入給ひ五日 七日も動き立事もなしさな から木石のことくにして目ましろ かしと息をつかと定めより立てはも との如く風顛さすらひありさま也 あるときは山ふかくわけいりて岩 のうへに端座して【?】入給ふにもろ〳〵 のあやしき鳥共木のえたに あつまりめつらしき色音にさえ つり鹿猿のたくひうたき【怒ってうなり】たぬ きのやからはその四方にむらかり をりまたおそろしき虎狼も 猛き心をうしなひつゝかうへを うなたれ座禅のゆかを守り奉る 然るに往昔より申つたへ侍へる 両虎たゝかへは相共に死すと かやもしふたつの虎の出逢て たゝかふ時は両方なから死せされ は止らすといふにあるとき布袋 和尚山中に分入給へは忽に二つの 虎にあひてたかひに牙を■【嚆ヵ】詰 顕し吼忿声木たまに響き 谷に■■【盈+□ヵ】に聞て夥しといふも 愚なりききしをとる山人 共は是を聞ておとれまひて山 を分いつるかゝる所に布袋 和尚行懸り給ふを山人共 袖をひかへて【袖を控えて=袖をとらえて引き止める】是より里に立かへり 給へ恐ろしき虎の戦ふ声の聞 へ侍へるにと申和尚は聞しめし ていや〳〵少もも【ママ】くるしからす我行 て彼か怒を止めすは定めて戦 死すへしこれをなためてあたへ むとて虎の辺に立寄互に向ひ 居たる中間に杖を入れて両方 に押分給へは二の虎恐れて両 方に立退けり布袋の言く如何 に汝等生て愚痴の因縁より■【蓋ヵ】 生の身を受たり定て汝等はしる ましこの生にむなしく忿を起 し憐みを知らす朝に腹立 て我か子を食い夕へに怒て 我妻を縣すから我心さしにて はいつか生死の迷ひを放れむ 暗より闇に沈み苦るしみより くるしみに迷れむ闇より暗に