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翻刻
【右丁 上段】
十二月
《割書:御たのみ》
御そく(息)もし【注①】さま《割書:なされ| 候》
御手ならひに
《割書:御所火をけ》【注②】
御やりなされ候
《割書:の事| あつらへ》 よし
いかふ
《割書: |をき》 かん(寒)し
《割書: 候べき候へは》 候べき候に
やう〳〵出来(いでき)まいらせ候ゆへ
御をとな(成人)しう
よくも
《割書:持せ| しんし| まいらせ候》
御ゆき(行)
《割書:もやう| なと》 あそは
《割書:此ほとの| そんしつき》【注③】され候
のよし
《割書:いかゝ御さ候や》
御覧なさるへく候
かしく
【注① 息文字=息災の女性語】
【注② 御所風の火桶(木製の丸火鉢)】
【注③ 存じ付き=思い付き。気づいたこと。】
【左丁 上段】
御返事
《割書:かへす〳〵もやう| といひ》
時分(じぶん)から《割書:ふう| といゝ》
御いそ(鬧)
もしの
《割書:のこる| かたなく》 中へ
《割書:しほ》御むつか(六ヶ敷)しき
《割書:らしう| 出来》 御事
《割書:まいらせ候》 とも
たのみ(頼)《割書:かへす〳〵も》
まし
《割書:さためし》 《割書:あり| かたふ》
はやく(早)
《割書:むすめに》 御きかせ
《割書: 見せ候はゝ》 給り
扨(さて)〳〵 《割書:そんじ| まいらせ候| かしく》
《割書:さそ| 〳〵》 あり(有)
《割書:よろこひ》 かたく(難)
《割書:申へく》 そんし
《割書: と》 まいらせ候
《割書:思ひ候べく候》
かしく
【右丁 下段】
は身に付(つき)たる
宝(たから)にて火(ひ)にも
やけすとり落(おとす)
事もなく仕(つかひ)て
へりもせす
【左丁 下段】
用心(やうじん)せぬ共ぬす
まれもせす現世(けんぜ)
来世(らいせ)の宝(たから)なり
また物(もの)かくゆへに
身(み)をたて仕合(しあはせ)能(よき)
現代語訳
【右丁 上段】
十二月
お息女様がお手習いに御所火桶をお使いになられるとのこと、とても寒い時期ですので、ようやく出来上がりましたので、お大人らしくよく持参いたします。お出かけの様子なども、この頃思い付いたことはいかがでしょうか。ご覧になってください。かしく。
【左丁 上段】
お返事
返す返すも様子を申しますが、時分から忙しい中へ、面倒なお事とも頼みまして、早くお聞かせいただき、さてさて有難く存じ上げます。さぞさぞ喜びを申すべくと思います。かしく。
【右丁 下段】
は身に付いた宝物で、火にも焼けず、盗人に落とされることもなく、使ってもすり減ることもなく
【左丁 下段】
用心しなくても盗まれることもなく、現世来世の宝である。また物を書くゆえに身を立て、幸せのよい
英語訳
【Right Page Upper Section】
Twelfth Month (December)
Regarding your daughter using the imperial-style fire brazier for her calligraphy practice, since it is a very cold season, it has finally been completed, so I will bring it to you in a mature manner. How are the recent thoughts about her outings and such? Please take a look. Respectfully yours.
【Left Page Upper Section】
Reply
I must repeatedly mention the circumstances, but during this busy time from the season, though it was a troublesome matter to request, you quickly informed me about it, and I am truly, truly grateful for this. I imagine there will surely be much joy to express. Respectfully yours.
【Right Page Lower Section】
is a treasure that becomes part of oneself, not burned by fire, not dropped or stolen by thieves, and never worn down by use
【Left Page Lower Section】
even without being careful, it cannot be stolen - it is a treasure of both this world and the next. Moreover, because one writes, one can establish oneself with good fortune