東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 6

女今川状百人一首女手習状女教小倉色紙 全 - 翻刻

女今川状百人一首女手習状女教小倉色紙 全 - ページ 71

ページ: 71

翻刻

【右丁 上段】         広蓋(ひろぶた)に 上(かみ)       小袖つむ         には下まへ 下(しも)       を上になし         つむなり 雁(かん) 鴨(かも)       魚(ぎよ)るい          祝言(しうけん)の 祝言       ときは の時は      腹(はら)を合 頭を       せて むかひ       つむ 合す         べし 祝言(しうげん)          道服(とうぶく) 向ひ       は 小袖(こそで)       かま 【左丁 上段】 ちりめんは    川魚(かはうを)はせなかを かくのこと    むかふへかしら く        をもち出 つむ       る人の右 なり       の方へ          なして          つむ也          数(かず)多き 菓(くは)        ときは 子(し)        頭をむ の        かふへなし 折(をり)        せなかを          もち出る          人の左へ          なしつむ          べし          海魚(うみうを)は          はらを 鳫(がん)鴨(かも)       むかふへ          なして つねの      つむ也 つみ       数(かず)多き やう        時 頭(かしら)を左(ひだり)     頭(かしら)をむ の羽(はね)の      かふへせ 下へ入る     なかを右へなしてつむなり 【右丁 下段】  左 中務(なかつかさ) 秋風(あきかぜ)の  ふくに   つけ    ても とはぬ    かな  おきの   葉(は)なら     ば をとは  して    まし  右 周防内侍(すはうのないし) ちきりしに  あらぬ   つらさ      も 逢(あ)ふ事   の  なきには    えこそ  うらみ     さり       けれ 【左丁 下段】  左 殷富門院(いんふもんいん)       太輔(たゆふ) なにかいとふ  よもながらへし   さのみやは うきに  たへたる いのち  なるべ    き  右 俊成卿(しゆんせいきやうの)女(むすめ) 俤(おもかげ)のかすめる     月そ       やとり はるや    ける  むかし    の 袖(そで)の  なみ    だ    に

現代語訳

【右丁 上段】         広蓋に 上       小袖を積む         には下前 下       を上にして         積むものである 雁 鴨       魚類         祝言の 祝言      時は の時は     腹を合 頭を      わせて 向かい     積む 合わす     べし 祝言         道服 向かい     は 小袖      釜 【左丁 上段】 縮緬は    川魚は背中を このように  向こうへ頭 積む     を持ち出 ものである  る人の右        の方へ        向けて        積むものである        数多き 菓      時は 子      頭を向 の      こうへ向け 折      背中を        持ち出る        人の左へ        向け積む        べし        海魚は        腹を 雁・鴨    向こうへ        向けて 通常の    積むものである 積み     数多き 方      時 頭を左    頭を向 の羽の    こうへ背 下へ入れる  中を右へ向けて積むものである 【右丁 下段】  左 中務 秋風の  吹くに   つけ    ても 問わぬ    かな  置きの   葉なら     ば 音は  して    まし  右 周防内侍 契りしに  あらぬ   つらさ      も 逢うこと   の  なきには    えこそ  恨み     去り       けれ 【左丁 下段】  左 殷富門院       太輔 何か厭う  世も長らえし   さのみやは 憂きに  堪えたる 命  なるべ    き  右 俊成卿の女 面影の霞める     月ぞ       宿り 春や    ける  昔   の 袖の  涙   だ   に

英語訳

【Right Page, Upper Section】         On a broad lid (hirobuta) Upper      when stacking kosode,         the lower front Lower      should be placed on top         when stacking Wild geese Ducks      Fish         For celebratory Celebratory   occasions occasions    place belly place heads   together facing      when each other    stacking Celebratory         Court dress Facing      is kosode      pot 【Left Page, Upper Section】 Crepe silk is  River fish should have their backs stacked     facing away, heads like       toward the right this       side of the person         carrying them         when stacking         When many Confec-     heads face tions      away, backs box       toward the left         of the person         carrying them         should be stacked         Sea fish have         belly Wild geese, ducks facing away         when Normal     stacking stacking    When many method     heads face heads under left away, backs wing      to the right when stacking 【Right Page, Lower Section】  Left Nakatsuaksa Autumn wind  blows, yet   still    even so you don't ask    about me  if these were   fallen leaves     then they would make  sound    indeed  Right Suhō no Naishi Though not what  was   promised,     even this pain—   when  there's no    meeting,  I cannot     let go       of resentment 【Left Page, Lower Section】  Left Infumon'in       Tayū Why should I loathe  this world I've lived so long—   is it only in sorrow  that I've endured this life  it must    be  Right Daughter of Lord Shunzei The moon hazed     by memories       has taken Spring has    lodging  of old   in sleeves'  tears   alone