翻刻
新之丞は【新之丞は、】
いつもの【いつもの】
とをりに【通りに】
きたり【来たり。】
瀧川に【瀧川に】
あいけれ共【会いけれ共】
ついぞなく【終ぞなく】
ふん〳〵と【ふん、ふんと】
してなにか【して、何か】
わからずがてんの【わからず、合点の】
ゆかぬ事と【ゆかぬ事と】
おもひこいなれは【思い、】
こそあやまり
ぐち
なんと【何度】
いふても【言うても】
つん〳〵と【つんつんと】
ばかり【ばかり、】
もし【もし】
また【また、】
ほかの
うちへ
でも
いくと
いふものでもあるかと【言う者でもあるか、と】
といかくればなにとも【問かくれば、何とも】
あいさつもせすくつと【挨拶もせず、くっと】
かんしやくをおこし【癇癪をおこし】
ふんごぶしのやうに【豊後節?のように】
あとであやまる【後で、謝る】
つもりにて【つもりにて】
したゝかちやうちやく【したたか、打擲】
すれど【すれど】
うむの
あいさつも【挨拶も】
せづさては【せず、さては】
ほかによい【他によい】
きやくが【客が】
あつてあいそ【あって、愛想】
つかしと見へた【尽かしと見えた。】
そふとは【そうとは】
ゆめにも【夢にも】
しらなんだ【知らなんだ】
ま事の【誠の】
ちくしやうめと【畜生め、と】
はらたち【腹立ち】
かへりける【帰りける】
【右頁左下】
見さげ【見下げ】
はてたちく【果てた、畜】
しやうめ【生め】
【左頁下】
忠二【忠二】
おとろき【驚き】
かけきたる【駆け来る】