翻刻
のものに造(つく)るべし余(あま)り細(ほそ)きは溶(と)け流(なが)るゝの患(うれい)
あり此柱(このはしら)は上(かみ)四尺(ししやく)の所(ところ)より継目(つぎめ)なく聢(しか)と壁(かべ)へ
繋(つな)き留(と)め下(しも)は地中(ちちう)に入(い)り三又(みつまた)に分(わか)れ其一枝(そのひとえだ)は
必(かなら)ず水(みづ)か或(あるひ)は湿地(しつち)の中(うち)へ埋(うづ)め置(お)くべし又一本(またいつぽん)
の柱(はしら)にては遠方(えんほう)までの守(まも)りとは成(な)り難(かた)し屋根(やね)
より高(たか)きこと四尺(ししやく)のものは其(その)周辺(まわり)八尺(はつしやく)の守(まも)り
となり五尺(ごしやく)のものは一丈(いちぢやう)の守(まも)りとなるものな
り故(かるがゆへ)に《ルビ:大厦|おほやね》の上(うへ)には図(づ)の如(ごと)く数本(すほん)の柱(はしら)を建(た)て
其間(そのあいだ)を太(ふと)き針金(はりかね)にて繋(つな)ぎ置(お)くべし手軽(てがる)なるた
め木柱(きはしら)を建(た)て屋根(やね)より上(うへ)の所(ところ)を金鍍(きんめつき)の銅(あかゝね)に造(つく)
り継目(つぎめ)より鉄(てつ)の鎖(くさり)を附(つ)け遠(とほ)く水中(すいちう)に沈(しず)むるも
のあれども用(よう)をなし難(がた)し「へねちや」国(こく)に「しんと
まあく」の塔(たふ)とて有名(ゆうめい)のものありしが往昔(むかし)より
数度(すど)の雷撃(らいげき)に遇(あ)ひ頗(すこぶ)る破損(はそん)せしかども此柱(このはしら)を
建(たて)し後(のち)は災(わざわい)を被(かふ)ることなしとぞ又(また)普魯士国(ぷろしやこく)の
「ぐろが」と云(い)ふ所(ところ)に火薬庫(くわやくぐら)ありて彼(かの)千七百八十(せんしちひやくはちじう)
二年(にねん)我天明二年(わがてんめいにねん)雷(かみなり)に撃(うた)れたれども此柱(このはしら)の利徳(りとく)
によりて災(わざわい)に羅(かゝ)らざるを得(え)たり「ぶれすしや」の