翻刻
百八十六年(ひやくはちじうろくねん)我貞享三年(ていきやうさんねん)
英国(いぎりす)の「りんこふるんしい
る」に生(うま)れたる「すちゆけり」
と又一人(またいちにん)は同国(どうこく)の人(ひと)「ぷり
すとり」とて両人(りやうにん)とも名高(なだか)
き学者(がくしや)なるが地震(じしん)の発(おこ)る
は越歴(ゑれきとる)の所為(わざ)なりと説(と)け
り斯(かく)大古(おほむかし)より種々(しゆ〴〵)
様々(さま〴〵)の説(せつ)あれとも
近代(きんだい)の発明(はつめい)にて地(ち)の底(そこ)は一面(いちめん)の火(ひ)なるに岩(いは)の
上皮(うはかわ)を被(かぶ)り其上(そのうへ)に土地(とち)を戴(いたゞ)き人(ひと)の住所(じうしよ)となれ
り此上皮(このうはかわ)に隙(ひま)ありて水漏(みづも)れ火(ひ)の中(なか)へ流(なが)れ入(い)り
しもの蒸(む)されて湯気(ゆけ)となり積(つみ)て出(いで)んとすれど
も出口(でくち)なく之(これ)が為(た)メ震動(しんどう)を発(おこ)すと云(い)ふ信(まこと)なる説(せつ)
なり地震(じしん)の災(わざはひ)は強(あなが)ち震動(しんどう)の強弱(きやうじやく)によらすその
震法(ふるへかた)の模様(もやう)により強(つよ)きも災(わざはひ)の軽(かろ)きあり弱(よわ)きも
災(わざはひ)の甚(はなはた)しきあり即(すなは)ちその模様(もやう)四通(よとほ)りにて左右(さゆう)
に動(うご)くあり上下(うへした)に動(うご)くあり抗(あげ)るあり旋(まは)すあり