翻刻
此(この)四(よ)ツの内(うち)にて旋(まは)す地震(ちしん)は強(つよ)からざるも恐るべ
きものなり大概(おほむね)一度(いちど)の地震(ぢしん)は脈(みやく)の六十度(ろくじうど)打(う)つ
間(あいだ)を過(すぐ)ることなし折重(おりかさね)て震動(しんどう)することあるが
ゆへに稀(まれ)には長(なが)き震動(しんどう)に逢(お)ふことあり地震(ぢしん)の
為(た)メ田畠(でんはた)埋(うづ)み家邸(いへやしき)破(やぶ)れ人畜(にんちく)死亡(しぼう)せしこと数(かず)知(し)れ
ず或(あるひ)は一村(いつそん)の人畜(にんちく)田畠(てんはた)全(まつた)く地下(ちか)に陥(おちい)りしこと
あり或(あるひ)は一(いつ)ヶ国(こく)を埋(うづ)めしことあり島(しま)なき所(ところ)へ島(しま)
を湧(わ)き海(うみ)を変(へん)して陸(おか)となし陸(おか)を没(ぼつ)して海(うみ)とな
し殊更(ことさら)甚(はなはだ)しきは今(いま)より二千百五十一年(にせんひやくごじういちねん)以前(いぜん)我(わが)
孝霊天皇(こうれいてんわう)八年(はちねん)に当(あた)りりす
まちやと云ふ所(ところ)地(ち)震(ふる)へて
土地(とち)人民(じんみん)全(まつた)く地下(ちか)に埋(うづも)れ
り又(また)彼(かの)七百四十二年(しちひやくしじうにねん)我(わか)天(てん)
平(へい)十四年(じうよねん)亜細亜州(あじやしう)にて地(ぢ)
震(しん)のため村数(むらかづ)五百余(こひやくあま)り潰(つぶ)
れ死人(しにん)の数(かつ)しれがたしと
ぞその後(のち)彼(かの)千六百六十二(せんろくひやくろくじうに)
年(ねん)我(わが)寛文(かんぶん)三年(さんねん)即(すなは)ち唐土(もろこし)の康熙(こうき)元年(ぐわんねん)清(しん)の聖祖(せいそ)即(そく)