翻刻
箇條(かぢやう)二ツあり第(だい)一は光(ひかり)の物(もの)に当(あた)りて折(お)れる理合(りあい)
第(だい)二は光(ひかり)の七色(なゝいろ)に分(わか)るゝの理合(りあい)なり光(ひかり)の物(もの)に
当(あた)りて折(お)れる理合(りあい)は誰(たれ)も知(し)れることにて女中(ちよちう)
の映鏡(うつしかゞみ)を持(もつ)て照(てら)し合(あ)はさるゝは乃(すなは)チ此理(このり)に基(もとづ)き
しものなり後(うしろ)にもてる鏡(かゞみ)より来(く)る光(ひか)り前(まへ)の鏡(かゞみ)
に映(うつ)り夫(それ)より折(お)れて我眼(わがまなこ)に入(い)ればこそ後(うしろ)の姿(すがた)
も見(み)るべき道理(どうり)なれ却説(さて)此理合(このりあい)より考(かんが)へなば
村雨(むらさめ)の水滴(みづたま)を前(まへ)にもてる鏡(かゞみ)と定(さだ)め此鏡(このかゞみ)日輪(にちりん)よ
り来(く)る光(ひかり)を受(う)け我眼(わがまなこ)に投(な)げ反(かへ)すの理合(りあい)も合点(がてん)
ゆくべし次(つぎ)に光(ひかり)の七色(なゝいろ)に分(わか)るゝ 理合(りあい)は五六寸(ごろくすん)
斗(ばか)りの三角形(さんかくけい)に製(せい)したる硝子(びいどろ)を
持(もつ)て天窓戸(あまど)を閉(とざ)したる部屋(へや)に入(い)
り戸(と)に小(ちいさ)き穴(あな)を明(あ)け日光(につくはう)の輝(かゞやき)を
容(い)れ之(これ)を斜(なゝめ)に件(くだん)の硝子(ひいどろ)へ受(う)けな
は日輪(にちりん)の光(ひか)り分(わか)れて七色(なゝいろ)となる
べしその色(いろ)の次第(しだい)を下(した)より数(かぞ)へ
第一(だいいち)を紅色(べにいろ)第二(だいに)を《ルビ:橙紅色|だい〳〵いろ》第三黄(だいさんき)
色(いろ)第四(だいし)を緑色(みどりいろ)第五(だいご)を藍色(あいいろ)第六(だいろく)を紺色(こんいろ)第七(だいしち)を桔(き)