翻刻
重(へ)の暈(かさ)を生(せう)じ暈(かさ)の重(かさな)りた
る所(ところ)へ仮(かり)の日輪(にちりん)を現(あら)はし
真(まこと)のものと都合(つかう)七(なな)つの日輪(にちりん)
同時(どうじ)に天(てん)に輝(かゞや)きしを見(み)た
りと元来暈(くはんらいかさ)は空(そら)の氷(こほり)に日(につ)
光透(くはうす)き通(とを)るより起(おこ)るものにて猶(な)ほ村雨(むらさめ)の水滴(みづたま)
日光(につくはう)を受(う)けて投(な)げ反(かへ)すに異(こと)なるなし斯(か)く云(い)は
ば空(そら)の氷(こほり)とは何(なに)ものなるやと問(と)ふ人(ひと)もあるべ
きが空(そら)は高(たか)き程寒(ほどさむさ)さ甚(はなはだ)しきものなるは富士(ふじ)抔(など)
の如(こと)き高山夏(かうざんなつ)にも雪(ゆき)を戴(いたゝ)
くを見(み)て合点行(がてんゆ)くべしそ
の寒(さむ)き所(ところ)へ雨(あめ)を結(むす)ぶべき
細(こま)やかなる水滴騭(みづたまのぼ)り凝(こり)て氷(こほり)
となり満面鏡(まんめんかゞみ)の如(ごと)く映(うつろ)ふ空(そら)に日(につ)
光透通(くはうすきとを)り環(たまき)の如(ごと)き光(ひかり)を現(あら)はしたる
を日暈(ひかさ)と唱(とな)へ来(きた)れり其氷(そのこほり)の模様(もやう)により
一(ひと)つの暈(かさ)を現(あら)はすあり或(あるひ)は二重(ふたへ)三重(みへ)の暈(かさ)を現(あら)
はすあり此(この)日に現(あら)はれたる暈(かさ)は四重(よへ)にしてそ