翻刻
【右丁・上段】
祝言の夜膳部
一ばん手がけ。二ばん三ぼう
三ばん引わたし。其次に
わた入のすひ物。そのつぎ
うちみ其つぎざうになり
もちは。切もちなるべし
其次。ひれのすひ物。鯛也
さて饗(きやう)の膳(ぜん)七五三也
いつれも図(づ)にあらはす。右
つぎ〳〵の間酒三ごんづゝ
くひ物はくふまねをする也
かならずくはぬもの也
七五三のくひやうは。右にて
はしをとり。食をとり上て
二はし三はしくひ。さて
はしをもちながら。右にて
【右丁・下段】
めかるともおもほへなくに忘らるゝ時しなけれは面影にたつ
四十七
むかし。男ねん比にいかでと思ふ女有けり。されど此男を
あだなりと聞て。つれなさのみまさりつゝいへる
古今
大ぬさの引手あまたに成ぬれは思へどえこそたのまざりけれ
かへし おとこ
同 おほぬさと名にこそたてれ流てもつゐによるせは有てふ物を
四十八
昔。男有けり。馬のはなむけせんとて。人を待けるにこさりければ
古今
今そしるくるしき物と人またんさとをはかれずとふべかりけり
四十九
むかし。男いもうとのいと《振り仮名:おかし|うつくしき也》げなるを。見をりて
うらわかみねよけにみゆる水草を人のむすばんことをしそ思ふ
ときこえけり。かへし
初草のなどめづらしき言のはぞうらなく物を思ひける哉
五十
むかし。おとこ有けり。うらむる人をうらみて
《振り仮名:鳥の子をとを|上の句なるましきことをたとへた■》つゝとをはかさぬとも思はぬ人を思ふものかは
【左丁・上段】
物くひやう
【挿絵】
【左丁・下段】
といへりければ
《振り仮名:朝露はきへのこりても|上の句有ましきことをたとへたり》有ぬべし誰か此世を頼みはつへき
又男
《振り仮名:吹風にこその桜は|上の句有ましきことをいへり》ちらずともあなたのみがた人の心は
又女かへし
古今
行水にかずかくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり
又おとこ
ゆく水とすくるよはひとちる花といづれまててふことを聞らん
はかなきことをいひくらふる也
《振り仮名:あたくらべかたみ|はかあなきことをいひくらふる也》にしける。男女の忍びありきしこと成べし
五十一
むかし。おとこ人のせんざいに菊うへけるに
古今
うへしうへは秋なき時やさかざらん花こそちゝめ【諸本は「ちらめ」】ねさへかれめや
五十二
昔。男有ける。人のもとよりかさなり粽【諸本は「飾り粽」。拾穂抄も「かさなり粽」】をこせたりける返事に
あやめかり君はぬまにぞまどひける我は野に出てかるぞ侘しき
とてきじをなんやりける
五十三
昔。あひがたき女に逢て物語などする程に鳥の鳴ければ
いかでかは鳥の鳴らん人しれず思ふ心はまだ夜ふかきに