翻刻
【右丁・上段】
しやく人
【挿絵】
くわへ
【挿絵】
【右丁・下段】
五十四
むかし。おとこつれなかりける女にいひやりける
行やらぬ夢路をたどる袂にはあまつ空なる露やをくらん
五十五
昔。おとこ思ひかけたる女の《振り仮名:えうまじ|わか物に成ましき也》う成ての世に
思はずは有もすらめど言のはの折ふしごとにたのまるゝかな
五十六
むかし。男ふして思ひ。をきて思ひおもひあまりて
我袖は草のいほりにあらね共くるれは露のやどり成けり
五十七
むかし。男人しれぬ物思ひけり。つれなき人のもとに
恋わびぬあまのかるもにやどるてふ我から身をもくだきつる哉
五十八
昔心づきて。色ごのみなる《振り仮名:男|なり平也》。長岡と云所に家つくりてをりけり
そこのとなり成ける《振り仮名:宮ばらに。こともなき|桓武の皇女たちを云 ■なくすくれたる女也》女《振り仮名:ども|つかはれ人也》の。いなか成けれは
田からんとて。此男あるをみて。《振り仮名:いみじのすきもの|なり平の家のを女のほめたる也》ゝしわさやとて。あ
つまりて《振り仮名:いきけ|なり平の家■》れは此《振り仮名:男にげ|なり平物ずき也》てをくにかくれにければ女
あれにけり哀いくよの宿なれや住けん人のおとづれもせぬ
【左丁・上段】
汁をとり。左へ取なをして
しるをすはすはずして。上を二
はし三はしくひ。又右の
手へわたし下にをくべし
又食をくひて。三度めゟ
しるをすふ也。本膳の中
もりゟ。左のすみ。それより
右のすみへくふべし
しやく人の事
長柄は十二所まく也。たゞし
閏年(うるふとし)ならは十三所まく
姫どりのしやくは。二足(あし)あ
ゆみてくはゆべし。くはへは
六足ゆく也。むこ入は一あし
くわへは七あしと心へへし
いづれも三度つゝくはへる也
【左丁・下段】
【挿絵】