東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

伊勢物語大全 - 翻刻

伊勢物語大全 - ページ 5

ページ: 5

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【右丁・上段】 四季花鳥(しきのくわてう)の歌(うた)《割書:藤原|定家》   正月 柳(やなき) 鶯(うぐひ) うちなびき春(はる)くる風の  色なれや日をへて       そむる あを柳(やぎ)のいと はる来(き)てはいく日も過ぬ      朝戸(あさと)        出に 鶯(うぐひす)きゐる まどの むら竹   二月 雉桜(きじさくら) 狩(かり)人のかすみにたどる        はるの貝を 妻(つま)とふ雉(きじ)のこゑに        たつらん かざしを御    有り人の袂(たもと)      まで 桜に   にほふ きさらぎの    そら 【右丁・中段)】 源氏名寄長歌(げんじなよせながうた) なんじのすぐれてやさしきは はかなくさえしきりつぼよ よそにてみえしはゝ木々(きゞ)は われからねんなくうつせみや やすらふ道のゆふがほは わかむらさきのいろことに にほふすゑつむ花の香(か)に にしきとみえしもみぢのが 風をいとひしはなのえん むすびかけたるあふひぐさ さか木のえだにかくしもは 花ちるさとのほとゝぎす すまのうらみにしづみにし しのひてかよふあかしがた たのめしあとのみをつくし 【右丁・下段】   ○雲(くも)の上(うへ) 又むさしのゝきよくともいふ ○雲の上のながめはありし昔(むかし)にかはらねど見し 玉だれの内ぞたゞなつかしやゆかしや ○おもしろやさつき雨花たちばなのにほへりほとゝぎ すおとづれてみじか夜(よ)なれどねられぬ ○なか〳〵にはじめよりなれずは物を思じ忘(わす)れば 草(くさ)の名にあれどしのぶは人のおもかげ ○思ひあまりせきかねうらみぬる夜のなみだは床(とこ) すさまじやひとりたゞまくらに恋ぞしらする ○むさしのに行くれて月をながめて草/枕(まくら)恋しき人 を夢に見てうたゝねのそでしほる ○のゝさをめぐるてんてきことのねにたとへて七年 の夜の雨かつてしらぬゆめの世   ○薄(うす)ごろも ○数ならぬ身にはたゞおもひのなくてすれかし人 なみ〳〵のうすころも袖になみだのかなしさ 【左丁・上段】   三月 藤(ふぢ) 雲雀(ひばり) ゆく春のかたみとや   さくふぢの花 そをだにのちの色の       ゆかりに  すみれさくひばり        の床(とこ)に   宿かりて     野を なつかしみ くらす春 かな   四月 卯花(うのはな) 時鳥(ほとゝきす) 白たへの ころも ほすてふ      夏の      きて      かきねも      たはに           さける            うの花   ほとゝきす忍ぶの里に   さとなれてまだうの   花のさつきまつころ 【左丁・中段】 しげきよもぎふ露(つゆ)ふかみ 水にせきやのかげうつし しらぬゑあはせおもしろや やどにたへせぬまつかぜも ものうき空のかすくもよ 世はあさがほの花のつゆ ゆかりおもひしおとめ子か かけつゝたのむたまかづら ろうたきはるのはつねの日 ひらくる花にまふこてう ふかきほたるのおもひこそ そのなつかしみとこなつや やり水すゞしきかゞり火の のわきの風にふきまよひ ひかげくもらぬ見ゆきには なにやつるゝふらばかま 【左丁・下段】 ○あこがれておもひねのまくらにはすをもかげをそ れかとてかたらんとおもへば夢ぞさめける ○白雪のみゆきのつもるとしはふるとあくまじ やもろともにねみだれがみのかほばせ ○ひく人はそれ〳〵にあまたあれ共つま琴(こと)の もとの心かはらずはらずはらずはことぢにおちよ秋かぜ ○柏木(かしはぎ)のゑもんのまりをとんとけたればまりは えだにとまりけれどむめはらりほろりと ○さりとてはつれなやひかふる君がたもとの あやにくになびかぬは手がひのとらの引づな   ○桐壺(きりつぼ) ○きりつぼのかうゐのひよくれんりの契(ちぎり)も さだめなき世のならひとて夢の間ぞはかなき ○みじか恋の夢さめておもおもかげもなつむしの 身よりあまる思ひをばいかで人にしらせん ○秋の夜もふけゆき月はにしにかたふくまつ