東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

伊勢物語大全 - 翻刻

伊勢物語大全 - ページ 6

ページ: 6

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【右丁・上段】   五月 橘(たちばな) 水鶏(くいな) ほとゝぎすなくや   さつきの      宿かほに かならず   にほふのきの         たちばな  まきの戸をたゝく  くゐなの明ぼのに 人や  あやめの   軒(のき)の         うつりが   六月 常夏(とこなつ) 鵜(う)  大かたの日かげにいとふ  みな月の空さへをしき  とこなつのはな みじかよのう河に   のぼる   かゞり火の   はやくすぎ    ゆくみな     月の空      【右丁・中段】 まきのはしらはわすれしを おきむめうえのにほふやと とけにしふぢのうらはかな なにとてつみしわかなそも もりのかしは木(ぎ)ならのはよ よこふえこのねはおもしろや やどのすゞむしこゑもうく くらきゆふぎり秋ふかみ みのりさとりしいものあま まぼろしのよのほどもなく くもかくれにしよはのつき きくなもにほふひやうぶ卿(けう) うつらふかうばいろふかし しのぶふしなる竹かわや やそうぢ川のはしひめも もとのいろなきやとり木や 【右丁・下段】 かぜや波(なみ)のおと鹿(しか)のこゑそさびしき ○みちしるべせしこぎみのなかだちにひかれて ゆくゑまよふうつせみのきぬのかほりぞゆかしき ○たうやこよひさよにふけてしばのとぼそをた くはおのへおろしの音づれかくはなのつづる声(こゑ)〴〵 ○あをやぎのかたいとによりてなけやうぐひす 鶯(うぐひす)のぬふてふかさはむめがえの花がさ   ○/四季(しき) ○はるはむめにうぐひすつゝじやふぢに山ぶき さくらかざすみやこ人は花に心をうつせり なつはうの花たちはなあやめはらすなでしこ かぜふけばすゞしくて水に心うつせり ○秋はもみぢしかのねちくさの花に松むし かりなきてゆふべの月に心うつせり ○冬はまづはつしもあられみそれこがらし さへ夜のあけぼの雪にこゝろうつせり 【左丁・上段】   七月 女郎花(をみなへし) 鵲(かさゝき) 秋ならで たれも あひみぬ をみなへし       ちぎりや       をきし       ほしあひ       のそら 長き夜にはねを ならぶるちきり とて秋まち わたる かさゝぎの はし   八月 鹿鳴草(はぎ)初雁(はつかり)  秋たけぬいかなる色と   ふく風に  やがてうつろふもと   あらのはぎ ながめつゝ秋のなかばも   杉の戸に まつほど  しるき はつかり  のこゑ 【左丁・中段】 やどりとめこしあつまやの のちの名もうきふねのうち ちぎりあたなりかけろふを せのかすさみのてならひは はかなかりける夢のうきはし   三夕(さんせき)の和歌(わか)     西行法師(さいぎやうほうし) 心なき身にもあはあはれは しられけりしきたつ さわの秋の夕ぐれ     寂蓮法師(じやくれんほうし) さびしさはそのいろとしも なかりけりまきたつ山 のあきの夕ぐれ     藤原定家(ふじはらのさだいゑ) 見わたせば花もみぢも なかりけりうらのとま 屋の秋のゆふくれ 【左丁・下段】   ○/須磨曲(すまのきよく) ○すまといふもうらのなあかしといふも浦(うら)の名(な) きらしなの月ともにながめてはさやあかさん ○春によせし心のいつしか秋にうつるはくろき あかきのませのうちによしある花の色々 ○きり〴〵すよすがらなにをうらみてすだくぞ 我(われ)も思ひにたえかねていとゝこゝろのみだるゝ ○なか〳〵に人をばうらむまじやうらみじとに かくにかずならぬうき身のほとぞかなしき ○/三五夜中(さんごやちう)のしんげつくまなきぞおもしろや ちさとのほかの人までもさそやながめあかさん ○しんかうに月さへてくるまのおとのきこゆかは八 でうあたりのあばらやの夕がほをしるべに   ○扇子曲(あふぎのきよく) ○あふぎはさくらのみへがさねかすめる月をゑに□ て水にうつろふ心ばへうへなつかしきありさま