翻刻
【右丁・上段】
つねにまきまへしるべき条々
一かけまくもかたじけなくも
天地(あめつち)ひらせはじまりし時
国常立尊(くにとこたちのみこと)化生(なりいで)給ひし
より。七代(なゝよ)の御神まし
ます国狭槌尊(くにさつちのみこと)つぎに
豊勘渟尊(とよくんぬのみこと)泥土煮(うひちに)の
尊((みこと)沙泥煮尊(さひちにのもこと)大戸之(おほとの)
通(じ)大苫辺尊(おほとまべのみこと)面足(おもたる)尊
惶根(かしこね)尊其つぎに伊弉(いさ)
諾(なき)伊弉冊尊(いさなみのみこと)也。これを
天神(てんしん)七/代(だい)と申奉る。此
いざなぎいざなみの尊と
申。二ばしらの御神。日本(やまと)
大八洲(おほやしま)の国をうみ玉ひ
扨国のあるじをうみ給ふ
【左丁・上段】
神代のてい
【左丁・下段】
けんふくする事也
むかし。おとこうゐかうふりしてならの京。かすがの里に。
なり平のちきゆう所有しと也 たかかりにいきけり もつしてうつくしい女也
しるよして かりにいにけり。其里に。いとなまめいたる女
兄弟也 なりひら也 かきのひまゟ見る也 思ひの外也
はらからすみけり。此男 かいま見てげり。 おもほへずふる
つきなくにあらぬ也 あきれたる也
さとにいとはしたなくて有けれは。こゝちまどひにけり。男
折ふし花のえたもなけれは也
のきたりけるかりぎぬのすそをきりて。哥をかきて
やる。その男しのぶずりのかりぎぬをなんきたりける
新古今 春日野のわかむらさきのすりころも
しのぶのみだれかぎりしられず
取あへす■■なれ■■■■■也
となん。おひ付ていひやりけるついで面白きことゝもや思ひ
河原左大臣融公の哥也
古今 みちのくのしのぶもぢすりたれゆへに
みだれそめにくわれならなくに
きこんのしやきよんといふ心也
といふ哥の心ばへなり。むかし人(ウト)はかくいちはやきみやひけなんしける
二
平安城也
むかし。男有けり。ならの京ははなれ。此京は人の家まだ