翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション1

江戸花俳優贔屓 : 3巻 - 翻刻

江戸花俳優贔屓 : 3巻 - ページ 3

ページ: 3

翻刻

【ページ半ばに「帝国図書館蔵」の朱印あり】 【ページ左下に「図 明治三一・六・三・購求」の朱印あり】 【左丁 本文】 三才図絵曰(さんさいづゑにいわく) 漢哀帝(かんのあいてい)建延年中(けんゑんねんちう)男(おとこ)化(け) して女(おんな)と なるこ【とヵ】や月令(けつれい)に雀(すゞめ)鳥 入海中(かいちうにいつて)蛤(はまくり)となり娘(むすめ) 開帳(かいてう)に往(いつ)て花娵(はなよめ)となるの謂(いゝ)か蓋(けだ)し長房(ながつほね) の角細工(つのざいく)は女(おんな)化して男(おとこ)となり似(に)た山の手の 薄化粧(うすげせう)は男(おとこ)化(け)して女(おんな)の如(ごと)し【注壱】是(これ)を内気(うちき)な 息子(むすこ)に類(るい)しかのを侠(きやん)【おきゃん=お転婆】なる娘(むすめ)に比(ひ)すを近曽(このごろ) きく助六(すけろく)かたましいくらがへして楊巻(あげまき)【揚巻】が腹中(ふくちう) 【服中】に至(いた)つて客(きやく)と女郎(ぢよろう)の胆(きも)をこぐつて【潜って・扱ぐってヵ】当時(とうじ)はやり の胆(きも)地(ぢこゝ)こゝにに至(いた)るを三升 艾(もくさ)の薬力(やくりき)と路考【注弐】 艾(もくさ)の㓛能(こうのう)にて通(つう)の根切病切(ねつきりやまひきり)呼々(あゝ)赤(あか)だん子【ごヵ】【灸の別称。小児語】に あらずんば赤本(あかぼん)の序(じよ)この終(おはり)。               大ずるり                  けいこふれ【述ヵ】【印】 【注壱 宮中や江戸城大奥などの局(個室)では、角細工=象牙製の張型を使って女が男役をこなし、山の手で営業している陰間茶屋の薄化粧した男娼は男なのに女のようだ、の意。 注弐 路考=イケメンの代名詞。江戸時代の歌舞伎役者・二代目瀬川菊之丞の俳号「路考」にちなむ。「路考もぐさ」に関しては不詳】

現代語訳

【ページ半ばに「帝国図書館蔵」の朱印あり】 【ページ左下に「図 明治三一・六・三・購求」の朱印あり】 【左丁 本文】 『三才図会』に言う。漢の哀帝の建延年間に、男が化けて女となることがあった。『月令』には、雀が海に入って蛤となると書かれているが、娘が開帳に行って花嫁となるということか。思うに、長局の角細工(張型)は女が化けて男となるものであり、山の手の薄化粧した男娼は男が化けて女のようになるものである【注壱】。これは内気な息子と、おてんばな娘とを比べるようなものである。近頃聞く助六の魂が入れ替わって、揚巻の腹中(心中)に至って、客と遊女の肝を扱って、当時流行りの度胸をここに至らしめるのは、三升もぐさの薬効と路考もぐさの功能によって、通人の根切り病切り(恋の病を断つこと)を行う。ああ、赤灸でなければ、赤本の序文もこれで終わり。              大ずるり                  けいこふ述【印】

英語訳

[Red seal "Imperial Library Collection" in the middle of the page] [Red seal "Illustration - Acquired Meiji 31.6.3" at bottom left of page] [Left page - Main text] The "Sansai Zue" states: During the Kenyan era of Emperor Ai of Han, men transformed into women. The "Monthly Ordinances" records that sparrows enter the sea and become clams, but perhaps this refers to daughters going to temple exhibitions and becoming brides. It seems that the horn implements (dildos) of the long chambers allow women to transform into men, while the lightly made-up male prostitutes of the uptown areas are men who transform to become like women [Note 1]. This is like comparing a shy son with a tomboyish daughter. Recently I hear that Sukeroku's soul has been exchanged, and reaching into Agemaki's heart, he manipulates the spirits of customers and courtesans, bringing about the fashionable courage of the times through the medicinal power of three measures of moxa and Roko moxa, cutting off the root ailments of connoisseurs (curing diseases of love). Ah, if it weren't for red moxa treatments, this preface to the red book would end here.              Great joruri                  Written by Keikofu [seal]