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【右丁】
長森(なかもり)稲荷(いなり)社 同所四丁 計(はかり)を隔(へた)てゝ菅生村(すかふむら)府中(ふちゆう)往来(わうらい)の街(ちまた)より右の
方 蒼林(さうりん)の中(うち)にあり同所 日蓮宗(にちれんしう)安立寺(あんりふし)奉祀(ほうし)せり
祭神(さいしん)長森(なかもり)稲荷明神(いなりみやうしん)右 星夜明神(ほしのやみやうしん)左 海光曜明神(かいくわうようみやうしん)《割書:以上|三神》
《割書:券族の神長現金狐神渡一銀狐神阿通相狐神阿参玄狐神阿権白狐|神以上五神》
相傳(あひつたふ)元禄(けんろく)十年 伊豫國(いよのくに)宇和島(うわしま)の浪人(らうにん)相馬(さうま)左仲(さちゆう)といへるもの
花洛(くわらく)にありし頃(ころ)鳥羽(とき)繩手(なはて)にして一人の美女(ひちよ)に逢(あ)ふ其(その)美女(ひちよ)の云(いは)く
我(われ)は伏見(ふしみ)藤森(ふちのもり)長森明神(なかもりみやうしん)の臣(しん)渡一銀狐神(といちきんこしん)と称(しよう)せりとて霊示(れいし)
あり翌(あく)る十一年の夏(なつ)四月廿日又 神告(しんこう)あるに任(まか)せ江戸に至(いた)り麻布(あさふ)
日(ひ)か窪(くほ)に住(すめ)る中原(なかはら)与(よ)兵衛といふ者(もの)の家(いへ)に勧請(くわんしやう)なし大(おほい)に奇瑞(きすゐ)
霊驗(れいけん)あり然(しかる)に正徳(しやうとく)五年の夏(なつ)の頃(ころ)左仲(さちゆう)没(ほつ)するの後(のち)一子(いつし)加藤次(かとうし)と
いへる者(もの)此(この)御神(おんかみ)を譲請(ゆつりうけ)て尊信(そんしん)す終(つひ)に元文(けんふん)五年十一月 安立寺(あんりふし)の
主僧(しゆそう)日現(にちけん)上人 此地(このところ)に遷(うつ)しまゐらせて法華(ほつけ)勧請(くわんしやう)の御神(おんかみ)とな
せり《割書:中原(なかはら)与(よ)兵衛か聟(むこ)なりける有隅(ありすみ)次兵衛といふ人 此神(このかみ)を尊信(そんしん)し稲穂(いなほ)およひ|銀封(きんふう)伽羅等(きやらとう)を感得(かんとく)せし奇瑞(きすゐ)あり今こと〳〵く安立寺(あんりふし)に収(をさ)めて稲荷(いなり)の》
【左丁 絵図】
大師穴(たいしあな)