翻刻
右丁
霜おける松の木末の風さへて浪よりしらむ沖つ島山
野上 小松
おのか羈おのれをせめて夜はいく度火をもやすらん野への子狐
フタ 香居
水かゝみ見てやよはひをうらとはんかけうすからぬわかの浦鶴
セト 繁樹
めてたしなかしらの雪はたえねともとこ少女なるふしのしら姫
仝 浦風
ゆたかなるみ代は八少女舞外に剣うちふるものとてはなし
水海道 三千歳
山人のめてにし菊の名をつけてよはひたもてと明る峰かも
潮来 守居
やみしらぬさとは吉原竹村のも中の月の出ぬ夜もなし
谷田部 筑波山人
末長きみ代のためしにをのゝえの朽木の杣に花木引らし
ホリ川 歌舟
くれなゐの葵にそまらぬ山寺はすみの宿のすみよかるらん
エトサキ 喜丸
嬉しともかなしともはた聞人の心にひゝくいりのあひのかね
二本マツ 光房
駒なつむ木曽のかけはし見おろせはしら泡はめる谷の川なみ
仙タイ 綾信
末ひろきみ代のかなめとみな人のあふきてのそむ山はふしのね
仝 薫
ゆかみなくすくなるみ代のなりはひにまかるをよしとゝらはためさん
■【砣ヵ】マキ 有年
とほれぬる程や小松と生ひにけん今年を千代の初めにはして
盤丘 广守
左丁 三十八
あら海の中にしたけき鮫なれは死ても太刀のかさりとそなる
仝 実成
恋しらぬ身にもにくさの増りけりねられぬ夜はを起す鳥かね
仝
夜をこむる学ひの窓の灯火は人もろともにねふらさりけり
大道 夢盛
かれ飯と落る涙にほとひけり椎の葉をもる月の旅寝は
天トウ 文章堂
さめてまた旅にゝとりつ古郷へかよふは夜はの夢はかりにて
同 真隺
滝の音やあらしの声になるゝ哉世をあなかまとのかれ住身も
本生 滝躬
くれ竹のよかれし宿はあれにけりしたにうらみの鬼のすむ迄
楽浪舎
心ゆくひなの旅路のひさこ酒こゝをつゝさはなして別れなん
仝
はらからも明ぬたくひにてみつ栗の中のひとつやめたち着なる
千束庵
すなとりし魚はぬれてゝ安房上総うら〳〵近くかへる釣ふね
六橋園
春夏の類想あへける序に奥にとてよめる長歌幷短歌
藤原
真名富
楢の葉の名におふ宮の大御代に匂ひそめてしあつまなる偉【焼ヵ】炎山の
こかねよりひかりなされる人みなのことはの花を花ことにあやに学し
文雅