翻刻
とて人の連来りけれハふた親の欲tあれひひとり
らでこハ〳〵処?にてなきかとて手を合せをがみ
けると聞て
早世になき人と思ひしにかゝるすがたを見廻りの里
和田何某の妻臨月にて有けるに地震におどろき
かけ出しけれハ俄に《ルビ:陣痛|シキリ》泣けれ庭さきにて玉の
如き男子を産めり
計らずもなゐに驚き《ルビ:陣痛|シキリ》して子かへり早□和田の初産
或人書斎に書を読居たりしが俄に地震の起
りし故かけ出さんとしけるが雨戸《ルビ:曲|まが》りて出る□り
がたけれハ詮方なく運を天に任すに然しと覚悟を
極め机上に向ひ読かけたる書を又々読居たりけるが
其内地震もをさまりいと静けくなりたり
聖賢の書を読徳歟なゐふるを居なからさけし君か功
山田氏の老母堀の内の祖師信仰なりしが棟木
にうたれ出ることなりかたけれハ一心不乱に観音