Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション4

BnF. Département des Manuscrits. Smith-Lesouëf Japonais 177 (1) - 翻刻

BnF. Département des Manuscrits. Smith-Lesouëf Japonais 177 (1) - ページ 26

ページ: 26

翻刻

【右丁】 おきなこのよしうけたまはりかしこ きかみの御こゝろにもおろかなる 事も侍るかやこのあをうなはらと 申はまん〳〵としてへんさい【辺際】もなし みなそこはこんりんさいにおよび つゝ八まんゆじゆん【注】にをよべりさう かい【滄海=青々とした海】をすくれは八かい【八海=すべての海】にいり八かいを すくれはかうすいかい【香水海】にいるかほとに まん〳〵たるうみのうちへとりて かへりたるつりはりをこゝにして たつねもとめんとのたまふは大ぞら の月のかつらをまねくとやらんより もはかなき御こゝろなるへしと申 【注 由旬=古代インドで用いた距離の単位の一つ。約七マイル(十一、二㎞)あるいは九マイル(十四、四㎞)という】 【左丁】 けれはみことこのよしきこしめし われらもさやうにおもへともあ まりせんかたなきにはかりことを めくらしうみのそこへもいりなんと おもふなりとのたまへはおきな此 よしうけたまはりけに〳〵さ ほとにおほしめさはとこよのくに へみゆきありてわだづみをたのみ たまへさあらはつりはりをとり かへしたまはん事はやすく候へしと 申けれはみことうれしくおほし めしかのおきなとゝもにとこよ のくにゝみゆきし給ふとこよのくに

現代語訳

【右丁】 翁はこの話を承り、「恐れ多いことですが、神様のお心にも浅はかなことがおありでしょうか。この青い海原と申しますのは、果てしなく広がって辺際もなく、海底は金輪際にまで及び、八万由旬にも達しております。滄海を汲めば八海に入り、八海を汲めば香水海に入るほどに、果てしない海の中へ落として帰らなくなった釣り針を、ここで探し求めようとおっしゃるのは、大空の月の桂を招くというよりも、もっと無謀なお気持ちでありましょう」と申し上げました。 【左丁】 すると尊は、この話をお聞きになり、「我らもそのように思うけれども、あまりに手立てがないので、計略を巡らせて海の底へも入ろうと思うのだ」とおっしゃいました。翁はこの話を承り、「それほどまでにお思いになるのでしたら、常世の国へお出かけになって、海神を頼みなさいませ。そうすれば釣り針を取り返していただくことは容易でございましょう」と申し上げました。尊は嬉しくお思いになり、その翁と共に常世の国にお出かけになりました。常世の国は

英語訳

【Right page】 The old man heard this and said, "With great respect, might there not be some rashness even in the divine heart? This blue ocean plain extends endlessly without boundaries, its depths reaching to the very foundation of the earth, extending eighty thousand yojana. When you scoop the blue sea, it flows into the eight seas, and when you scoop the eight seas, it flows into the fragrant water sea. To search for a fishhook that has been dropped and lost in such a boundless ocean would be even more futile than beckoning to the moon's laurel tree in the vast sky." 【Left page】 Then the noble one, hearing this, said, "We too think likewise, but having no other recourse, we plan to devise a strategy and enter even to the bottom of the sea." The old man heard this and said, "If you are so determined, then journey to the eternal land and seek the help of the sea god. Then retrieving the fishhook would be an easy matter." The noble one was pleased to hear this and departed for the eternal land together with that old man. The eternal land...