翻刻
【右丁】
黒色(いろ)微毛(すこしけ)あり夏(な)月三尺の茎(くき)を抽(ぬきみ)て枝(ゑた)を分(わか)ち花(はな)を開(ひら)く単弁(ひとへ)の紅菊(あかきく)の如(こと)く黄心(わうしん)根(ね)黒色(くろいろ)味(あしわひ)辛辣(しんらつ)也
一説 らんきく
蘓頌(そせう)の説(せつ)に秦州(しんしうの)者(もの)似 単葉(たんやう)寒菊(かんきくににて)紫色(こしよく)といふ是(これ)なり又なつよめなともいふ漢名(かんめい)五月(こけつ)翠菊(すいきく)《割書:秘伝|花鏡》と云
勢(せい)州 布引山(ぬのひきやま)に自生(じせい)あり秋月(あき)苗(なへ)を生(せう)す雞児腸(けいしてう)《割書:よめ|な》に似(に)て濶(ひろ)く五六月 茎(くき)を抽(ぬきんし)て一尺 許(はかり)末(すへ)に花(はな)あり単(ひとへ)
弁にて紫碧色(むらさきいろ)又 白花(はくくは)もあり形(かたち)よめなに似(に)て肥(こへ)たり根(ね)蒿(よもき)の如くにして肥(こへ)て黒褐色(くろうわみいろ)なり
一種 いはこきく
又ひめしゆへきくともいふ叡山(ゑいさん)無動寺(むとうし)又 木曽(きそ)山中(さんちう)のもあり葉(は)はらんきく
に似(に)て甚(はなは)た小く円(まる)く小
指頭(ゆひかしら)の大さにて鋸歯(かゝり)あり花に似(に)て小(ちいさ)し
【左丁 挿図】
ひきよもき