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翻刻
申候勘六か疵成程軽き事に而候引取候節内蔵助差図
に而駕籠に乗申候
【内蔵助ゟ与左衛門へ之書中に手負は勘六勘平両人】
【迄に候勘六事誤而泉水へ落候を敵立かゝり切付候】
【故数ヶ所かす手負候勘平はわずか之事に而本庄】
【より芝泉岳寺仙石様へも歩行候程之事に候如此】
【有之】
〇一夫より上野介殿寐所江志し切入申候内へ切入者共は先足軽を
壱人搦捕引立上野殿寝間を聞何れもたやすく寝間
迄乱入候処御寝道具計に而上野介殿不相見何れも十方に
暮兎や角詮義仕候内茅野和助心を附夜着之間へ
手を入見申候処いまた温り有之候扨は只今此所御立去りと
現代語訳
勘六の傷は思いのほか軽いものであった。引き取る際、内蔵助の指図で駕籠に乗った。
【内蔵助から与左衛門への書状に「手負いは勘六、勘平の両人のみである。勘六は誤って泉水へ落ちたところを敵が立ちかかって切りつけたため、数ヶ所にかすり傷を負った。勘平はわずかな傷で、本庄から芝の泉岳寺、仙石様のところへも歩いて行ける程度のことである」とある】
○一、それより上野介殿の寝所へ目指して切り入った。内へ切り入った者たちは、まず足軽を一人捕らえて引き立て、上野殿の寝間の場所を聞いた。皆が容易く寝間まで乱入したところ、寝具ばかりで上野介殿の姿は見えず、皆が途方に暮れた。あれこれと詮議をしている間に、茅野和助が注意深く夜着の間へ手を入れて確かめたところ、まだ温もりがあった。「それでは今しがたこの場所をお立ち去りになったのだ」と