翻刻
【右丁】
行都合廿二三日天気追風も能と見へ海上
凡千里計りも有へきと思ふ遠き湊に
走着此湊を後に聞ば■らろくといふ爰
も数千間有湊城下にて船頭の家かと見へし所
へ連此所に七人一所に置ぬしはらく日数を
送りけるが聞もなれぬ鳥の聲見なれぬ花の手■
イ異なる草あやしき木を見るに付此遠国に
送られて何と成行身の果と思ひくらしなき
【左丁】
明してぞすごしける同五月末の頃役人
と覚しき人来り七人の内を■り出せる様々の
躰に見へて金兵衛市三郎定五郎長太弥吉
都て五人を連出る名残りのかなしさにいつくへ
行か■と成しとも答へも分らされば只なく計り
の事共也此所 冬(フユ)と思ふ頃も雪ふらず
してさむからす夏きたりけれともたへがた
き程暑からす明ても暮ても草木の花