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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 7 増補頭書訓蒙図彙大成

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 2:巻之1-3 - 翻刻

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 2:巻之1-3 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

【右丁上段】 ○雲(くも)は山川(さんせん)の気(き)なり地気(ちき)のぼ りて雲(くも)となり天気くだつて雨(あめ)と なるなり雲(くも)は陰(いん)の体(たい)なり昇(のぼり)て 陽(やう)の用(よう)となるみな雨湿(うしつ)の気(き)なり ○雨(あめ)は水(みづ)烝(むし)【蒸の誤】て雲(くも)となりくだつて 雨となるむらさめを暴雨(ばうう)といひ ながあめを霖雨(りんう)といひ夕(ゆふ)だちを 驟雨(しうう)といひ時雨(しくれ)を澍(しう)といふ ○雷(らい)は陰陽(いんよう)あひ激(げき)する声なり 王充(わうしう)論衡(ろんかう)といふ書(しよ)に雷(らい)の形は一人 の力士(りきし)ありて累々(るひ〳〵)たる連鼓(れんこ)を左(ひだり)に 持(もち)右(みぎ)の手(て)に鞭(むち)をもつてうちて声(こへ) をなすといへり ○電(いなびかり)は二月に有(あり)この月 陽気(ようき)漸(やうやく) さかんにして陰気(いんき)をうつその激(けき)す るひかりを電(でん)といふ俗(ぞく)にいなびかり いな妻といふ雷神(らいじん)を電母(でんぼ)といふ 【左丁上段】 ○暈(うん)は日月のかたはらの気(き) なりかさといふ日 暈(かさ)あるとき はひでりし月 暈(かさ)あるときは 三日のうちに雨(あめ)ふるといへり ○雪(ゆき)は雨(あめ)こりて雪となる天地(てんち) の積陰(せきいん)あたゝかなるときは雨と なりさむきときは雪(ゆき)となる 花をなすを雪(ゆき)といひ円(まとか)なる を雹(あられ)といふ又 銀花(ぎんくは)とも六出(りくすい) 花(くは)とも銀屑(ぎんせつ)ともいふ ○氷(こほり)は陰気(いんき)のあつまるところ もれざるときはむすぼふれて 冰(こほり)となる氷(へう)と書(かく)はあやまり也 冰(へう)と書べし冰(こほり)つもれるを凌(れう)と いふ冰(こほり)さかんなるを凍(とう)といふ冰 ながるゝを凘(し)といふ冰(こほり)とくるを泮(はん) といふ氷室(へうしつ)はひむろなり 【右丁下段挿絵】  雲(うん)《割書:くも|》        雨(う)《割書:あめ|》 雷(らい)《割書:いか| づち》       電(でん)《割書:いなつま|いなびかり》  《割書:なる| かみ》  《割書:かみ| なり》 【左丁下段挿絵】       雪(せつ) 暈(うん)     《割書:ゆき|》  《割書:かさ|》           氷(へう)          《割書:こほり|》

現代語訳

【右丁上段】 ○雲は山や川の気である。地の気が昇って雲となり、天の気が下って雨となる。雲は陰の性質を持ち、昇って陽の働きとなる。みな雨や湿気の気である。 ○雨は水が蒸発して雲となり、下って雨となる。にわか雨を暴雨と言い、長雨を霖雨と言い、夕立を驟雨と言い、時雨を澍と言う。 ○雷は陰と陽が激しく衝突する音である。王充の『論衡』という書物に、雷の姿は一人の力士がいて、たくさんの太鼓を左手に持ち、右手に鞭を持って打って音を出すと書かれている。 ○稲妻は二月にある。この月は陽の気がだんだん盛んになって陰の気を打つ。その激しい光を電と言う。俗に稲光り、稲妻と言う。雷神を電母と言う。 【左丁上段】 ○暈は日や月の周りの気である。「かさ」と言う。太陽に暈があるときは日照りし、月に暈があるときは三日のうちに雨が降ると言われている。 ○雪は雨が凍って雪となる。天地の積もった陰の気が、暖かいときは雨となり、寒いときは雪となる。花のような形をなすものを雪と言い、丸いものを雹と言う。また銀花、六出花、銀屑とも言う。 ○氷は陰の気が集まったところで、漏れないときは結んで氷となる。「氷(ひょう)」と書くのは間違いで、「冰(ひょう)」と書くべきである。氷が積もったものを凌と言い、氷が盛んなのを凍と言い、氷が流れるのを凘と言い、氷が解けるのを泮と言う。氷室は「ひむろ」である。 【下段挿絵】 雲、雨、雷、稲妻、暈、雪、氷などを図示している。

英語訳

【Right page, upper section】 ○Clouds are the qi of mountains and rivers. Earth qi rises to become clouds, and heaven qi descends to become rain. Clouds have yin nature and rise to become yang function. All are qi of rain and moisture. ○Rain is water that evaporates to become clouds and descends as rain. Sudden rain is called bōu (violent rain), prolonged rain is called rin'u (continuous rain), evening showers are called shūu (swift rain), and seasonal rain is called shū. ○Thunder is the sound of yin and yang clashing violently. In Wang Chong's "Lunheng" (Balanced Inquiries), it describes thunder's form as a strongman holding numerous drums in his left hand and a whip in his right hand, striking to make sound. ○Lightning occurs in the second month. In this month, yang qi gradually becomes vigorous and strikes yin qi. This intense light is called den. It is commonly called inabikari or inazuma. The thunder god is called denbo (lightning mother). 【Left page, upper section】 ○Halos are qi around the sun and moon, called "kasa." When the sun has a halo, there will be drought; when the moon has a halo, rain will fall within three days. ○Snow is rain that freezes to become snow. The accumulated yin qi of heaven and earth becomes rain when warm and snow when cold. What forms flowers is called snow, and what is round is called hail. It is also called silver flowers, six-petaled flowers, or silver flakes. ○Ice forms where yin qi gathers without leaking, binding together to become ice. Writing it as "氷 (hyō)" is incorrect; it should be written as "冰 (hyō)." Accumulated ice is called ryō, vigorous ice is called tō, flowing ice is called shi, and melting ice is called han. An ice house is called "himuro." 【Lower section illustrations】 Diagrams showing clouds, rain, thunder, lightning, halos, snow, and ice.