翻刻
いかゝと尋ねければ皆〳〵一同に奇妙也
とて則評義一決し其用意をなし
ける所斯の津田山小鹿子は夫に別れし
ほ〳〵と闇路(やみじ)をたたどりよふ〳〵と日開野
村へ走り付鎮守堂の禁長が栖(すみか)へ来り
案内して禁長に対面し鹿子の
最期(さいごか)か事いわんとすれば胸ふさがり
其侭どふと倒れ伏し前後深くに
歎きしが良(やう)心を取直し涙(なみだ)をおさ
へて申けるは我 夫(つま)鹿子義君え大 事(じ)を
告(つげ)奉り裏(うら)切せしを川島作右衛門に伺(うか)
がひ聞れ六右衛門へ申上密談の上 急(きう)用
ありと夫を偽り穴観音へ呼寄せなぶ
り殺しに無念の最期我とても女房
身何卒敵を討んものと心はかりは速(はや)
れども何をいふにも女壱疋敵は名に逢(あふ)
六右衛門なれば中〳〵女の手に合ず頼みと
思ふは君壱疋不 便(びん)と思召供〴〵に夫の