徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 60

ページ: 60

翻刻

九左衛門は眷属を二手になし弐百疋を 従(したが)へ後陣(ごじん)に進(すゝ)ませ其身は三百余の眷(けん) 属をしたがへ同じくむ迎へ合せたり其 時日開野方より壱疋の大将顕はれ出 若輩の身(み)として我(われ)〳〵(ゝゝ)と戦(たゝか)はんとは 鼠(ねずみ)の猫に向ふがごとし今にも心を改(あら) め降参せば一命を助くべし斯(かく)申我 こそ定めて音にも聞つらん地獄橋に て古墓(ふるわか)をはやらせたる正一位衛門三郎 なりと名乗けり此時津田の陣(じん)より またらの古狸其かたち小牛(こうじ)ことき物(もの) 踊(おど)り出申けるはこさがしき衛門の広(こう) 言(げん)かな我未だ百六才なれども穴観音(ああなくわんおん) の御内にて一二をあらそふ川島の九左衛門 なり汝高官をしなから愚昧の禁 長を助け我〳〵と戦はんこそ誠に 虎(とら)の前の羊(ひつじ)の如し早く穴観音へ