翻刻
つて其術に達したり松の木お山
は美(うつく)しき女となりて高坊主にかけ
迎ひ衛門三郎が教への通り少しも
上を見ず下(した)へ見下しければふしぎや
今迄一丈余りありし入 道(どう)忽(たち)まち
弐三尺の小坊主となりけりお山は大ひに
悦び飛かゝりて肩口へしたゝか喰付
たり高坊主は其術をくぢかれ無念
〳〵とあがけども最初(さいしよ)疼手(いたで)に眼(まなこ)くら
み其侭そこに倒(たを)るゝをお山すかさず咽
笛(ふへ)へかみつきなんなく止(とゝ)めをさしたり
ける是に気を得て日開野勢進め〳〵
と戦ふたり津田方の後陣(ごじん)に控へし
讃州役右衛門は先手の九左衛門 敗(はい)軍
するを見て手勢を繰(くり)廻し日開
日開野 方(かた)の後を断(たゝ)んとす是を見(み)
て日開野方の後備(うしろそな)へ高 須(す)の院(いん)
元(げん)駆(かけ)合せ大石大木を投かけ〳〵