翻刻
大石を以て敵中へ投かけしかば此 石(いし)
に当(あた)る者悉く命を落しける其
勇猛(ゆうもう)に恐れをなし敢(あへ)て近付者
なきゆへ其隙に役右衛門は味方を救(すく)ひ
やう〳〵九左衛門が勢と一所になり役右衛門は
九左衛門にむかひ味方大勢也といへども
数■の戦ひに労れたり此勢を以て
戦わん事然るへからず早〳〵本 陣(じん)へ
軍使を遣(つか)わし加勢を乞(こい)給へて
荒手来りなば我〳〵も少し休息し
敵(かた)方は替(かわ)る勢なきゆへ猶〳〵我〳〵
其 後(うしろ)を断(たち)切南 方(ほう)より打立なば必
勝利ならんと申ければ九左衛門是を聞
て誠に貴殿の妙計驚入たり然らば
速■■【かにヵ】本陣へ加勢を乞べしと夫より
使番か小狸を呼出(よひだ)し汝本陣へ至り
かやう〳〵に申べしと口上を教へければ
使者は承知しいつさんに津田山か麓(ふもと)