徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 67

ページ: 67

翻刻

采配(さいはい)を持進めやすゝめと下知しける 後陣は田の浦太左衛門都合其勢百 五十 計(ばか)り真黒になつて攻(せめ)かけたり 六右衛門も兼て期したる事なれは少 しも騒(さわ)かず同じく備へをなし三 百疋を二手となし一方は川嶋作右衛門 に百五十の狸をそへ其身は百五十疋 をしたがへ自身真先に立て腹鼓(はらつゝみ)を 鳴(な)らし懸れ〳〵と下知しける爰に又 藤樹寺鷹の子小鷹熊鷹父の 敵を討(うた)んと思ひ込み余の狸には目も 懸ず作右衛門の陣へ馳入ハ方へ荒廻り 当るを不 運(うん)とかみ倒(たを)し其 有(あり)様は さながら鬼神の如く作右衛門は年 古(ふる)き 狸ゆへ少しも騒がず味方を励(はげ)まし 戦ひ けり  禁長六右衛門合戦の事  并川嶋作右衛門勇猛の事