翻刻
采配(さいはい)を持進めやすゝめと下知しける
後陣は田の浦太左衛門都合其勢百
五十 計(ばか)り真黒になつて攻(せめ)かけたり
六右衛門も兼て期したる事なれは少
しも騒(さわ)かず同じく備へをなし三
百疋を二手となし一方は川嶋作右衛門
に百五十の狸をそへ其身は百五十疋
をしたがへ自身真先に立て腹鼓(はらつゝみ)を
鳴(な)らし懸れ〳〵と下知しける爰に又
藤樹寺鷹の子小鷹熊鷹父の
敵を討(うた)んと思ひ込み余の狸には目も
懸ず作右衛門の陣へ馳入ハ方へ荒廻り
当るを不 運(うん)とかみ倒(たを)し其 有(あり)様は
さながら鬼神の如く作右衛門は年 古(ふる)き
狸ゆへ少しも騒がず味方を励(はげ)まし
戦ひ けり
禁長六右衛門合戦の事
并川嶋作右衛門勇猛の事